フォーミュラ1は、グローバルパートナーであるカタール航空との新プログラムを通じ、持続可能な航空燃料(SAF)への投資を拡大すると発表した。この取り組みは、既存の物流パートナーDHLとのSAF投資に基づいており、F1チームやFIAが参加できる幅広い枠組みを提供するものだ。
航空物流での排出量削減
2024年シーズンの遠征レースで使用される航空貨物チャーター便では、2つのSAFプログラムを合わせることで、従来の航空燃料と比較して8,000トン以上のCO2換算排出量(tCO2e)を削減する見込みである。これは関連する排出量の約19%削減に相当する。
F1は、2030年までのカーボンニュートラル達成に向け、2018年基準から少なくとも50%の排出削減を求めており、今回のSAF投資はその戦略の重要な一環を成している。
トラック上とオフトラックでの持続可能性の向上
SAFはF1の代替燃料戦略の中心であり、今後もその使用範囲が拡大する予定である。2026年からは、F1マシンが100%の高度な持続可能燃料を使用する予定であり、F2およびF3は2023年に55%の燃料を使用して以降、次シーズンから100%に移行する。既にFIAのセーフティカーとメディカルカーは40%の高度な持続可能燃料を使用している。
オフトラックでは、2023年からヨーロッパのグランプリ輸送にバイオ燃料を使用したトラックが導入されており、来シーズンからはピットレーンやパドックなどの主要な運営エリアで、Aggrekoが提供する低炭素ソリューションが使用される予定である。これにより、これらのエリアの排出量は90%以上削減される。
また、F1カレンダー全体でも、バイオ燃料やグリーンタリフ、現地での再生可能エネルギーを活用する取り組みが増加している。
輸送戦略の効率化と排出削減
F1は輸送距離を削減するためにスケジュールを見直し、2026年以降、カナダGPを5月、モナコGPを6月に移動することを決定している。また、ヨーロッパ、UAE、アメリカに地域ハブを設置し、貨物の移動距離を短縮。さらに、効率的なボーイング777用貨物コンテナの設計を採用し、排出量を17%削減している。
F1の持続可能性目標へのコミットメント
F1のESG(環境・社会・ガバナンス)責任者であるエレン・ジョーンズは次のように述べた。
「今回の投資は、2030年カーボンニュートラル目標達成に向けた代替燃料戦略の次のステップです。チームやFIA、パートナーと協力し、F1の炭素排出量削減を実現し、F1以外にも影響を与える技術の推進に取り組んでいます。この取り組みは、F1全体のステークホルダーが持続可能な未来を共有するビジョンに一致していることを示す、最新の好例です。」