2025年シーズン最後の走行イベントとなるF1ポストシーズンテストが12月、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行われた。ランド・ノリスをはじめとする多くのレギュラードライバーと若手ドライバーが参加し、ピレリの2026年用ナロータイヤやアクティブエアロ対応ミュールカーの評価が実施された。2025年の締めくくりであると同時に、2026年の“新時代”に向けた準備が本格的に動き出した1日だった。
タイムシートのトップに立ったのは、アストンマーティンから参加したジャック・クロフォードだった。若手枠で走行したクロフォードは、現行マシンとソフト寄りのコンパウンドを駆使して最速タイムを記録し、自身のスピードと適応力を強くアピールした。2番手にはキック・ザウバーのポール・アーロン、3番手にはウィリアムズのルーク・ブラウニングが続き、上位は将来のF1レギュラー候補が占める形となった。テストの名目通り、「次の世代」の力が数字にもはっきり表れた格好だ。
日本人ドライバーも手応えと課題を持ち帰った。レッドブルから参加した岩佐歩夢は、若手枠として現行マシンをドライブし、上位に食い込むタイムと十分な周回数をこなしてプログラム消化に貢献した。ハースから走行した平川亮は、タイムとしても中団上位に位置しつつ、一方でスピンによる赤旗も発生させており、攻めたドライビングがそのままリスクにもなった形だ。F1レギュラー枠が限られる中で、こうした機会でどこまで「即戦力」を見せられるかが今後のキャリアに直結する。
技術面では、2026年用ナロータイヤとミュールカーの組み合わせから、多くのヒントが得られたと見てよい。タイヤ幅の縮小に伴うグリップレベルの変化、ウォームアップ特性、ロングランでのデグラデーション傾向など、どれもアクティブエアロ時代のマシン設計とセットアップを左右する要素だ。今回持ち帰った大量のデータは、今後のファクトリー作業やシミュレーションに反映され、2026年マシンのコンセプト決定に直接つながっていくことになる。
アブダビ・ポストシーズンテスト結果(ベストラップ順位)
1. J・クロフォード(AST)1:23.766 119周
2. P・アーロン(KIC)1:23.847 126周
3. L・ブラウニング(WIL)1:23.920 129周
4. F・ヴェスティ(MER)1:24.568 145周
5. 岩佐歩夢(RBR)1:24.925 121周
6. K・アントネッリ(MER)1:25.170 157周
7. P・オワード(MCL)1:25.418 127周
8. 平川亮(HAA)1:25.463 121周
9. D・ベガノビッチ(FER)1:25.720 122周
10. O・ピアストリ(MCL)1:26.099 85周
11. L・ハミルトン(FER)1:26.138 73周
12. L・ノリス(MCL)1:26.142 71周
13. A・アルボン(WIL)1:26.289 92周
14. C・ルクレール(FER)1:26.417 75周
15. C・サインツ(WIL)1:26.454 76周
16. L・ローソン(RBP)1:26.505 141周
17. A・リンドブラッド(RBP)1:26.519 139周
18. G・ボルトレート(KIC)1:26.767 78周
19. N・ヒュルケンベルグ(KIC)1:27.004 76周
20. P・ガスリー(ALP)1:27.433 144周
21. I・ハジャー(RBR)1:27.515 111周
22. K・マイニ(ALP)1:27.544 128周
23. S・バンドーン(AST)1:27.743 108周
24. O・ベアマン(HAA)1:27.827 80周
25. E・オコン(HAA)1:31.407 4周
