アブダビGPの金曜フリー走行3回目で発生したピットレーン接触をめぐり、メルセデス代表トト・ウォルフがレッドブルと角田裕毅に公の謝罪を行った。メルセデスはFIAから1万ユーロ(約180万円)の罰金処分を科されており、タイトル決戦週末に危うい火種になりかけた。
問題のシーンはヤス・マリーナ・サーキットのピットレーンで起きた。すでにピットレーンのファストレーンを走行していた角田の横に、ガレージからアンドレア・キミ・アントネッリのマシンが送り出され、そのまま角田のマシンの右側面にヒットした。レッドブル側はフロアなど「良いパーツをほとんど壊された」(とウォルフが表現する)ほどのダメージを負い、角田は予定していたソフトタイヤでの最終アタックを失っている。
スチュワードはメルセデスの「アンセーフリリース(危険な送り出し)」と判断し、チームに1万ユーロの罰金を科す決定を発表した。ドライバー本人ではなくチーム側の運用ミスと位置づけた形だ。
ウォルフはセッション後、「まずはユウキに申し訳ない。我々のミスで彼のマシンの良い部分をすべて壊してしまった」と述べ、「何が起きたのかを特定し、原因を突き止める必要がある」とチームの責任を認めている。一方で、同じセッションではジョージ・ラッセルが最速タイムを刻んでおり、メルセデスのパフォーマンス自体は上位争いに絡める水準であることも示された。
メルセデスは「ドライバーズタイトル争いには干渉しない」と事前に強調していたが、結果としてライバルであるレッドブルと角田の週末準備を乱す形になった。フロア損傷と走行時間喪失というダメージは、予選・決勝に向けたセットアップに直結するだけに、タイトル最終戦の緊張感をさらに高める一件となったと言える。またこの損傷が予選に影響したかは現時点で明らかにされていない。

