2025年シーズンのF1は残り2戦――今週末のカタールではスプリントも予定されており、ラスベガスでのマックス・フェルスタッペンの勝利、そしてマクラーレンの痛恨のダブル失格を経て、タイトル争いが一気に混戦となり、チーム内部の緊張も急速に高まっている。
ロサイル・サーキットはレッドブル向きと見られており、メルセデスのジョージ・ラッセルは今週末の結果次第で勢いがさらにフェルスタッペン側へ傾く可能性を警告した。
ジョージ・ラッセル「ここはレッドブルのためのトラックだ。高速コーナーは彼らの武器だ。鈴鹿やシルバーストーンでもそれを証明してきた」
一方でマクラーレンは、最終戦アブダビでは再び形勢が逆転すると見ている。
アンドレア・ステラ「アブダビは我々の手に再び流れを取り戻せるサーキットだ」
しかしその前に、まずはフロアが再び規定違反とならないことを確実にしなければならない。元F1ドライバーのアレクサンダー・ブルツは ORF に対し、ラスベガスでFIAが迅速にマシンを検査したことに驚きはなかったと語った。
「ブラジルの時点で、いくつかのチームが“あの低い車高のままどうやって車検を通しているのか”と FIA に疑問を投げかけていたという噂がすでにあった。だから FIA がマクラーレンを素早く確認したことに僕は驚かなかった。他チームが知らせたのかもしれないし、マシンがまだ熱いうちに測りたかったのかもしれない。ただの噂だけどね」
ブルツは、この失格がタイトル争いを意図的に接戦にさせるための措置だという憶測を否定した。
「F1では細部がすべてだ。ミリ単位で勝負が決まる。マクラーレンは基準を超えてしまったから失格になっただけだ。過去にも同じことがあった。直近ではフェラーリでも起きていた。議論の余地はない。プランクが通常より摩耗していれば、マシンは失格になる」
この判定は、選手権の様相を大きく変えたことは間違いない。
「一番の痛手はランド・ノリスだった。逆にピアストリは少し得をした。もし失格がなければ、彼(ピアストリ)はチームメイトより30点後ろだったが、今は24点差だ。
最大の勝者は観客だ。僕たちは壮絶なフィナーレを迎える。可能性が低く見えたマックス・フェルスタッペンの望みは一気に大きくなった。カタールでは勝てるマシンを手にするだろう」
F1レジェンドのジャン・アレジも同意する。
「この段階での失格は衝撃的なミスだ。だが同時に、全てのモータースポーツファンへの贈り物でもある。僕たちは素晴らしい最終戦を迎えるし、マックス・フェルスタッペンは歴史的偉業を達成できる位置にいる。彼は反対派からも尊敬されている」
一方、レッドブルがマクラーレンのフロア設定についてFIAに“密告”したのではないかという憶測も続いている。特にマクラーレンがインテルラゴスでのフェルスタッペンの“無料”の新エンジン交換について疑問を呈した後だけに、その疑いは強まっている。
ブラジル戦後、レッドブルのジョナサン・モナガンはこう語っていた。
「マクラーレンの質問は、まるで手榴弾を放り込んでくるようなものだった。逆の立場なら僕たちも同じことをしただろう」
F1界の大御所70年代のF1ドライバーハンス=ヨアヒム・シュトゥックも、タイトルの行方はフェルスタッペンに大きく傾いたとみている。
「マックスが何をしているかを見れば、彼は追いつくだろうと思う。限界を攻め続け、ミスが極端に少ない。本当に素晴らしい。マックスはプレッシャーが最も少ない。全てを出し切ればいいだけだ。僕は彼がやり遂げると思う。ただ、何が起きるかは誰にも分からない。ここまで刺激的な展開は、ずいぶん昔にさかのぼらないと記憶にない」

