セルジオ・ペレスが、レッドブル離脱から時間を置いた今、当時を「自分にとって最高の出来事だった」とコメントした。2024年シーズンの終わりにチームを去ったペレスは、2026年に新規参戦するキャデラックからF1復帰を果たす予定であり、その準備期間の中でレッドブル時代の実情を語った。
ペレスはメキシコで行われたイベントで、レッドブルからの離脱についてこう述べた。
「レッドブルを離れたことは、結果的に僕にとって最高の出来事だった。」
その理由として、チーム在籍時の環境の厳しさを挙げる。
「あのチームにいた時の状況は本当に要求が厳しかった。マシンは扱いが難しくて、常に自分のドライブを合わせ続けなければならなかった。そこに来るドライバーは、皆同じ問題に直面すると思う。」
さらに、レースや結果だけでは見えない精神的負担やチーム内の力学にも踏み込んだ。
「アスリートとして、ドライバーとして、ああいう状態でいるのはメンタル的に本当にきつい。チーム全体が自分に反対しているように感じる時もあったし、メディアでは批判ばかりだった。表からは見えない政治的な駆け引きもたくさんあった。」
レッドブル在籍4シーズンで5勝(2021年ランキングは4位、22年は3位、23年は2位、24年は8位)チームのコンストラクターズタイトルに貢献しながらも、ペレスは2024年から失速して契約を解消。2011年にザウバーでデビューしてからF1で14シーズンドライブしたあと、ブランクを迎えるレッドブルとの別れの場面で、当時のチーム代表クリスチャン・ホーナーにこう伝えたという。
「クリスチャンと別れのあいさつをしたときに、『これまでありがとう。それから、ここに来る次のドライバーには本当に気の毒だ。きっとものすごく苦労するだろう』と伝えたよ。」
その後、レッドブルはリアム・ローソン、角田裕毅を起用しつつラインアップを模索してきたが、ペレスは一年のブランクを経てキャデラックでの「ラストビッグプロジェクト」に照準を合わせる。
「僕は、次のチャプターで多くの人を驚かせたい。このプロジェクトを、自分のキャリアの集大成にしたい。」
レッドブルという「勝つことが前提」のチームを離れたことで、ペレスは過酷な環境から解放されたと同時に、自身のメンタルとキャリアを立て直す時間を得た。彼が「最高のことだった」とまで言い切るその経験は、2026年キャデラックでの復帰がどれほど切実な再出発であるかを物語っている。

