キャデラックF1のチーム代表グレアム・ローデンが、新規参戦チームの野望と現実的な課題について語った。彼は、かつて率いたヴァージン/マルシャ時代とは出発点がまったく違うと強調する。あの頃は約束されていたコストキャップが土壇場で消え、弱小チームが丸腰でF1に放り込まれた。しかし今は、予算制限が制度として定着し、巨大自動車メーカーGMとスポーツビジネス大手TWGの資本と人材の後押しがあるので、環境は「完全に別物」だという。
技術面では、元F1テクニカルディレクターのパット・シモンズやニック・チェスターら経験豊富なエンジニアを招聘。既に風洞プログラムも本格稼働しているが、ローデンは「まだトラックで検証できていない以上、性能目標を軽々しく口にすべきではない」と慎重な姿勢を崩さない。新チームにとって最初の勝負どころは、他チームとの比較ではなく、「望むスペックのマシンを、期日通りに、狙った組織体制で仕上げること。まずは組織運営と予算制限内での最大パフォーマンス引き出しに集中する」と発言。
一方で、目標は決して小さくない。「F1に参加すること自体が目的ではない。競争の中で意味のある存在になりたい」と語り、「野望は無限大であり、5年以内に表彰台・優勝争いをしたいとの見通しも示している。かつて資金難に苦しんだチームを生き延びさせた指揮官が、今度は潤沢なバックアップを武器にどこまで戦えるのか。2026年のグリッドで答えが試される。

