マクラーレンのラスベガスGP週末は大きな打撃となった。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリの両者が、リヤ側スキッドブロックの過度な摩耗により失格処分を受け、チームは2位と4位を失い、すでに激化している2025年のF1タイトル争いは一段と緊張感を増した。
決勝後の検査により、2台のMCL39はいずれも2025年テクニカルレギュレーション第3.5.9条に定められた「最低プランク厚9mm」を満たしていなかったことが判明した。ピアストリ車は左フロント8.96mm、右フロント8.74mm、右リヤ8.90mm。ノリス車は右フロント8.88mm、右リヤ8.93mmと計測された。FIAはマクラーレンの代表者3名立ち会いのもとで測定を行い、他のポイント獲得車は全て規定をクリアしていた。
マクラーレンは、想定外のポーポイズ現象や、ウエットと中断が続いたプラクティスにより通常のセットアップ準備ができなかったことなど、「事情を考慮すべき要因」があったと主張した。特にFP2はマンホールカバーの緩みによる2度の赤旗で大幅に短縮されていた。また今回の摩耗は、2025年序盤に発生した他のスキッドブロック違反より軽微だと指摘した。
しかしスチュワードは、今回の違反が意図的ではないと認めつつも、規則と過去の判例を踏まえれば失格以外の選択肢はないと判断した。「規則を故意に回避しようとしたわけではない」という内容が決定文に記されたが、定められた制裁は適用されることになった。
これにより、レースを制したマックス・フェルスタッペンの後方には、メルセデスのジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリが2位・3位として繰り上がった。フェルスタッペンは当初4位でフィニッシュしていたが、これが今季6勝目としてチャンピオンシップ上で大きな意味を持つことになった。ノリスとの差は当初の42点から24点に一気に縮まり、残り2戦+スプリントを前にタイトル争いの構図が揺れ動いた。また更新後の順位では、ピアストリがフェルスタッペンと同点でランキング2位に並んだ。
ピアストリは夏以降に失速しており、かつて34点差をつけてチャンピオンシップをリードした勢いは影を潜め、表彰台なしの連続レースは6戦に伸びた。今回の30点消失は、マクラーレンのタイトル挑戦にも重く響いた。
今季の失格処分はこれで5件目と6件目となった。これまでには、上海でシャルル・ルクレールとピエール・ガスリーが1kgアンダーで順位を失った件、中国でルイス・ハミルトンが同じくプランク摩耗で失格となった件、バーレーンでニコ・ヒュルケンベルグが同様の厚み違反で処分を受けた件などがある。
しかし今回のラスベガスほど競技面での影響が大きかった例はない。最後に表彰台が失格で覆ったのは2024年ベルギーGPで、ジョージ・ラッセルが車重不足で優勝を失い、チームメイトのハミルトンに勝利が渡ったケースだった。

