ラスベガスのナイトレースを終えたルイス・ハミルトンの表情には、達成感よりも疲弊だけが残っていた。予選でまさかのキャリア最下位を記録、決勝では後方スタートから入賞圏まで挽回したものの、本人は「最悪のシーズンだ」と言い切り、この週末をキャリアの低迷を象徴する一戦として位置づけた。
路面コンディションが目まぐるしく変化した予選ではタイヤを機能させられず、ブレーキの不調も重なってQ1敗退。決勝では冷静なレース運びで順位を取り戻したが、チェッカー後のインタビューでハミルトンは「ひどい気分だ。どれだけ頑張っても状況は悪くなる一方だ。マシンの内でも外でも、できることは全て試しているのに」と吐き出し、わずかなポイントにも満足感は見られなかった。
フェラーリ移籍初年度は、22戦連続で表彰台ゼロという不名誉な記録とともに「キャリア最悪のシーズン」と本人に言わしめる内容に終始している。チームはコンストラクターズ4位に転落し、トップチームで唯一未勝利という現実にも直面する。それでもハミルトンは「22回悪い週末を過ごしてきた」と自嘲気味に語りつつ、来季に向けた明確な展望を示せていない。ラスベガスは単なる一戦ではなく、フェラーリとの“賭け”がいまのところ完全に裏目に出ていることを突きつける週末だったと言える。

