パート1:エステバン・オコン、ランド・ノリス、フランコ・コラピント

Q:ランド、まずは君から始めよう。F1で150戦目、おめでとう。時が経つのは早いね。ここ7年間のハイライトとローライトをひとつずつ教えてくれないか?

ランド・ノリス:うん、クレイジーだね。大きな数字だよ。DC(デビッド・クルサード)と同じくマクラーレンでのレース数にもなったし。だからF1だけじゃなくて、マクラーレンで150戦ってことなんだ。次のカタールで151戦目。だから、なんて言えばいいんだろう…マクラーレンで一番「レースしてる」ドライバーってことかな。言葉はわからないけど、まあそんな感じ。それってすごくクールだし、かなり誇らしいことだと思ってる。自分にとって大きな達成なんだ。でも、F1で150戦って…これは僕の夢だったんだ。子供の頃からの夢だった。だからここまで来られたこと、1戦でも走れたことが信じられないくらいすごいのに、150戦なんて…本当にあっという間だった。でも2019年のオーストラリアのことは今でも覚えてる。グリッドに並んで、ライトが点灯して…全部覚えてるよ。そんなに昔のことには感じないね。ローライトを選ぶのは難しい。誰のキャリアにも厳しい瞬間はあるからね。具体的にこれ、とは言えないけど、チームとしてはここ数年が一番厳しかったと思う。今年のシルバーストンは僕にとって誇りに思えるレースだった。母国で勝てたんだからね。キャリアの中で絶対に勝ちたいレースをひとつ挙げろと言われたら、それはシルバーストンなんだ。だから、あれが一番誇らしい瞬間だったと思う。親もいたし、チームも、ファンも、スタンドもあった。子供の頃を思い出させてくれたし、数分間だけど世界の頂点に立ったような気分になれた。本当に最高の瞬間だった。

Q:F1にたどり着くのが子供の頃の夢だったなら、今こうして残り3戦で24ポイント差のチャンピオン争いをリードしているのはまさに夢のようじゃないか?今この瞬間をどれくらい楽しんでいる?

ランド・ノリス:もちろん楽しんでるよ。僕のアプローチは誰もが知ってる通り「一戦一戦」なんだ。最後までその姿勢でいくよ。行く先々での経験を楽しんでるし、一緒に戦ってる仲間たちとも楽しんでる。毎回のセッションを楽しんでるし、当然、常に勝ちを目指している。表彰台に乗ったり、レースで勝てたときは特別な気分になる。僕たち全員がそれを目指しているからね。ここ最近は良いレースが続いてる。でも今僕たちが置かれている立場、オスカーと僕が戦っているような状況だと、なかなか一歩引いて自分が何をしているのか考えるのは難しい時がある。ずっと「次に何ができるか」「次のプラクティスで、予選で、決勝で何をすべきか」ってことばかり考えていて、「ああ、僕はF1にいるんだ。チャンピオン争いをしてるんだ。世界中を旅してるんだ」ってことを忘れてしまいがちなんだ。でも、そういうことを思い出す瞬間があったり、ふと一歩引いて考えたときに、正気じゃないくらいすごいことをしてるんだって気づかされる。僕はこの場にいられるだけで幸運だし、今戦っているポジションにいるなんてもっとラッキーだよ。

Q:では今週末の話に移ろう。ベガスはここ2年、マクラーレンにとってあまり優しい場所ではなかった。今年はうまくいきそうかい?

ランド・ノリス:うん、そう信じるしかないね。どうやらもう「僕たちは優勝候補じゃない」とは言っちゃいけないらしいから(笑)。でも過去2年を見れば、ここは間違いなくシーズンで一番難しいレースだった。だから期待値としては、メキシコやブラジルと同じにはしていない。そこでは何年にもわたってかなり良いパフォーマンスを見せてきたからね。でも今年は素晴らしい一年だったし、過去に苦しんだ場所でも進歩できてる。だから以前よりは自信を持ってここに来てるよ。ただ、直近の数戦と同じくらいの自信があるかというと、それはない。何が起こるかはわからない。期待値は高いままだけど、勝つために来てるし、最近のレースみたいにいい結果を出したい。でも今回は間違いなく、ここ数戦よりは難しいレースになると思う。

Q:フランコ、おめでとう。F1で24戦目になるね。今年のアルピーヌは厳しいシーズンだけど、サンパウロではマシンのペースが少し良くなってきた。去年ここベガスではピエールの手でかなり競争力を見せた。今年はポイント争いできる自信はある?

フランコ・コラピント:うん、全体的にマシンの感触はだいぶ良くなってきてると思う。ブラジルでは前進を感じられたし、ピエールは素晴らしい週末を過ごして、チームとしてもポイント圏内に戻れたのはポジティブなことだった。上位で戦えるペースを取り戻したのはすごくエキサイティングだったよ。ここベガスはこれまでのレースとは全然違う、特殊なサーキットだと思う。路面もすごくトリッキーだし、だから特別な期待はしてない。でも、ピエールは2024年にすごく良い週末を過ごしてたし、今回も悪くはなさそう。メキシコやオースティンと比べてもかなり改善できたと思うし、いい方向に進んでると思う。どこまでやれるか、楽しみだよ。

Q:エステバン、君の番だ。去年ここベガスではハースが良い成績を残していた。今年もチームは好調だし、クルマもかなり良くなっている。今週末、どこまで期待している?

エステバン・オコン:うん、オースティンから導入したアップグレード以降、クルマの調子は確実に良くなってきてる。チームとしても良いポイントが取れるようになってきたし、今回も楽しみにしてるよ。この週末のベガスは個人的にもすごく好きなレースなんだ。2年前には4位フィニッシュしたから、良い思い出があるしね。それにここはチャンスが多いレースでもある。1コーナーではいろんなことが起きるし、タイヤを適正な温度に持っていくのがすごく難しい。だから、そういう部分で差をつけられる。あと、雨の可能性もあるって話だし、それが実現すれば初めてのことになる。いろんな要素が絡んでくる週末だけど、今のクルマがここでどんなパフォーマンスを見せられるか、本当に楽しみだよ。最近のレースみたいな結果が出せれば最高だね。


フロアからの質問

Q:(デイビッド・クロフト – Sky Sports F1)ランド、質問だ。アンドレア・ステラは、昨年のベガスでのレースで君の最終スティントに、マクラーレンが復調のヒントを見出したと言っていた。昨年のラスベガスGPの最終スティントで君は何をした? そして、その答えとは?

ランド・ノリス:何をしたかって? 言うべきかどうか迷うな。

Q:(デイビッド・クロフト – Sky Sports F1)ぜひ教えてくれ。

ランド・ノリス:わかった。あの時は僕たちがあまりにも遅かったから、とにかくいろんなことを試していたんだ。で、実際には……いや、やっぱり言わないよ。今は大事な争いをしている最中だから、できるだけ情報は出したくない。でもね、あの時はあまりにも遅くて、もういろんなことを試すしかなかったんだ。まあ、察しのいい人なら何をしたかは想像できるかもしれないけどね。すごく長いレースだったし、ラップ数も多かったし、ずっと同じような問題に苦しんでいた。だから、ドライビングスタイルだったり、アプローチだったり、とにかくいろんなことを試していたんだ。毎週、車の性格が変わるから、どう運転すれば速くなるのかを見極めるのは簡単じゃないんだよ。あと、コクピット内のツールもいろいろ使ったりしてね。最終的にレースの終盤、最後のスティントでようやく少し答えが見えてきた。ペースも上がったし。今、あのレースのデータを見ればわかると思うけど、僕の最終スティントはフェラーリ、レッドブル、メルセデスとかなり拮抗していた。特にルイスの最後のスティントは本当にすごかった。でも、それでもメルセデスにはまだかなり差があった。それでも、レースができる状態にはなっていた。まあ、時すでに遅しだったけどね。でも、そこから学べたのは大きい。今年のレースがすごくうまくいくってわけじゃないけど、方向性は掴めた。いろんなことを試しただけさ。でも、その詳細は教えない。まあ、自分で推測してみてくれ。

Q:(マラ・サンジョルジオ – Sky Sport Italy)ランドにもう1問。ドライバーのメンタリティについて聞かせてほしい。現在の君は24ポイント差、あるいは49ポイント差をもって、タイトル争いを自分のコントロール下にあると感じられるか?

ランド・ノリス:どうだろうね。前回の週末を終えてからは、確かに何かは変わったかもしれない。ブラジルGP前と後、あるいはメキシコGP前とブラジルGP後でポイント差が大きく動いたと思う。ここ数戦、自分としてはかなり良いパフォーマンスができている感覚はある。でも、そのレベルでずっと戦い続けるのは簡単じゃないし、僕が戦っている相手は信じられないくらい優れたドライバーたちだ。だから、僕としては、常にそのレベルでのパフォーマンスを維持したいと思っているけど、それが保証されているわけじゃない。ちょっとした不運だったり、ほんの少し自分の調子が落ちたりすれば、彼らはその高いレベルでしっかり結果を出してくる。すぐに状況が変わる世界なんだ。だから、たしかに少しはコントロールできている感覚はあるけど、実際には何もコントロールできていないようなものさ。僕はただ、1セッションずつ集中して、FP1を最大限活かす、FP2を活かす、という風に取り組んでいる。それさえできれば、特に自分の立ち位置が変わったとは感じない。外から見れば変わったように見えるかもしれないけど、僕の中では普段通り、何も変わらず進んでいるよ。

Q:ランド、レベルの話が出たが、最近はシーズン序盤よりも車からより多くを引き出せていると思うか?

ランド・ノリス:序盤と比べたら、良くなってないはずがないよ。正直、シーズンの最初はかなり苦しんでいた。車側でもいくつか変更を加えてきた。全部が確実に効果あるってわけじゃないけどね。これまでも話してきたけど、フロントサスペンションやステアリングの部分など、少し良くなったんじゃないかって思える箇所がある。ただ、「これで一気に良くなった!」っていう感覚があったわけじゃない。何も感じなくても「まあ一応付けておこうか、良くなってるかもしれないし」ってくらい。でも、あとは僕自身の努力次第だった。自分で理解を深めて、エンジニアたちとも連携して、僕の周りのチーム全体と一緒に取り組んできた。その結果として、明らかに今はもっといい仕事ができていると感じている。予選でもラップをうまくまとめられているし、決勝も良いスタートやリスタートができている。そういう細かい部分が全部合わさって、いい仕事ができている。ただ、それも全部、舞台裏での努力があってこそだ。

Q:(トム・スレイファー – DAZN Spain)ランド、ここ数戦のパフォーマンスの向上について話していたけど、メキシコやブラジルでの結果を考えると、夏休み前後で何かが変わったのか? 例えばザントフォールトの前後で、パフォーマンスに何か“クリック”があったのか?

ランド・ノリス:そういう風に言えたらかっこいいけど、実際にはそうじゃないんだ。常に僕とチームで地道に小さな改善を積み重ねてきた。それだけさ。「こう運転すればいいんだ」って魔法のような答えを見つけたわけじゃない。今でも正直、毎週末苦しんでる。例えば、メキシコとオースティンでは車の感触がまったく違ったし、ブラジルでもまた別物だった。だから、一度理解したら終わりっていう世界じゃない。毎週、車に合わせて自分を適応させる必要がある。特別な一つの要因はなかったけど、シミュレーターでの作業だったり、チームとのコミュニケーションだったり、FP1、FP2、FP3を通じて車の理解を深めるためのルーティンを改善したり、そういうことをずっと続けてきた。そのためには、今まで以上に自分が努力しなければならなかったし、周りの人たちの力ももっと引き出さなければならなかった。だから、特別なきっかけがあったわけじゃない。サーキットの外で、とにかく努力してきただけなんだ。

Q:(レイチェル・ブルックス – Sky Sports F1)エステバンとフランコ、ごめんね。またランドへの質問。ランド、オスカーとの関係について聞きたい。今シーズン、二人の関係に変化はあった? 以前はチームが出す二人の楽しそうな動画をよく見かけたけど、最近はあまり見かけない。バトルが激しくなる中で、一人の時間を増やしたりしてる?

ランド・ノリス:いや、あの動画が減った理由は、僕たち二人が「動画の本数を減らしてほしい」とお願いしたからだよ。僕たちはレーシングドライバーであって、レースをするために来てるんだ。SNS用の動画を撮るためじゃない。もちろん、今でもたくさん撮らされてるけどね。関係そのものは何も変わってない。むしろ今の関係性にすごく満足してるし、たぶんオスカーも同じ気持ちだと思う。そうなっているのは自然な流れというより、お互いにしっかりとリスペクトし合っていて、今の立場を理解しているからなんだ。

それに、僕らは「ドライバーとしての自分」と「サーキット外での個人としての自分」をしっかり分けてる。それが僕のスタイルでもあるし、カート時代からチームメイトと良い関係を築いてきた。そうすることで、僕自身が楽しく過ごせるし、結局はそれが理由で今もこの世界にいる。好きなことをしているから、できるだけ楽しみたいんだ。

でも、僕らはマクラーレンのために走っているという意識を強く持っていて、チームのために全力で働いている。そしてもちろん、ドライバーとしては自分自身のパフォーマンスを最大限に発揮することが最優先になる。でも、車を降りたら、冗談も言うし、デブリーフ中も笑いがあるし、サーキットの外でも楽しんでいる。

だから、今の関係はむしろこれまで以上に良いと言えるかもしれない。僕たちは全然タイプが違う人間なんだ。彼はすごく落ち着いていて、地に足がついていて、いつもリラックスしている。とにかく“クール”に見える。そういうところは僕もすごく尊敬しているよ。彼の感情は読みづらいけどね。僕の方は、たぶん見ればすぐに今どんな気分か分かると思う。でも、ゴルフに一緒に行ったりはしないし、カルロスとやってたような付き合い方とは違う。ダニエルとはゴルフしてなかったけど、それでも関係は良好だった。要するに、僕たちは違う人間だけど、関係性としてはとても良いし、今でもちゃんと一緒に働いていて、今が一番良い状態かもしれない。

Q:(イアン・パークス – RacingNews365)
ランディには少し休憩してもらって、フランコに質問する。ブラジルGPの後、ランス・ストロールを批判したのには何か特別な理由があるのか?「彼はいつも人にぶつかっている、それが彼のやり方だ」とコメントしていたが、さっきのメディアセッションでランスに聞いたところ、なぜそんなことを言われたのか理解できないと困惑していた。そして、君は今季まだポイントを取っていないんだから、自分のことに集中したほうがいいんじゃないか、とも言っていた。

フランコ・コラピント:あれはレース後の感情的な瞬間だったと思う。周冠宇との接触は僕のすぐ前で起きたから、その瞬間を見ただけだったんだ。でも、もちろん彼に影響を与えていたのなら謝りたい。あの時はレース後で熱くなっていたんだ。今はもう問題ないと思う。でも、僕らはレース中いつも近い位置にいて、何度も接近戦をしてきた。だから…そういうことさ。

Q:(ルーク・スミス – The Athletic)
ランディに質問だ。君はマシンへの適応の難しさについて話していたけど、これはマクラーレンで何年も言ってきたことでもあるよね。少しずつ改善されてきているようだが、ラスベガスのように寒くてタイヤ依存が大きいコースでは、やはり一層難しさが増すのでは?

ランド・ノリス:うん、全員にとってチャレンジだと思う。僕が学んだことの一つは、どんなポジションにいようが、みんなマシンに文句を言うってことだ。速いマシンに乗ってようが、遅いマシンに乗ってようが、グリッドの前でも後ろでも。今の僕らは一貫して一番速いクルマを持っているけど、それでも文句を言う。それがドライバーってもんだ。文句を言うのは多分僕らの専門分野なんだ。マシンは速くても、正しいラインに入れるのがとても難しいこともある。今年はその「扱いやすさの幅」が広がったから、いろんな場所で安定して速く走れるようになった。でも、それでもまだ難しい。そして言った通り、サーキットごとに全然違う。今週末勝ったとしても、次の週に同じことをしても全然ペースが出なかったりして、「一体どうしたらいいんだ?」と困惑する。でも今は、その判断を以前より早くできるようになったと思う。ラスベガスはまた全然別の世界で、寒くて、グリップが低くて…僕はフロントのグレイニングが特に苦手なんだ。多分グリッドの中で一番酷かったと思う。今はだいぶマシになったけど、以前は最悪だった。アンダーステアも嫌いだし、フロントが効かない感じが本当に嫌いなんだ。ここではそういうことがよく起きるから、しっかり対処しないといけない。でも、それをちゃんと分かっているからこそ、最初から意識して臨めば、少し自信を持って週末を進められる。とはいえ、もし明日FP1やFP2でまたフロントがグレイニングしたら、僕はピットに戻ったときにめちゃくちゃ不機嫌になると思う。そして君たちがペンスで僕に聞いてきたら、「今日は最悪だった」って答えると思う。いろんな期待があるけど、このサーキットは本当に特殊だ。ダウンフォースは少ないし、ストレートは長いし、ブレーキングも難しいし、全体的に一貫性を保つのが難しい。僕らのクルマにとって、それは嫌なことなんだ。でも今年はいろいろとマシンを変えてきたから、もしかしたらここで一番になるかもしれない。様子を見てみよう。

Q:(サヒル・カプール – NBC)
ランディ、過去6戦で58ポイントをライバルに対して稼いできた。その差を考えると、残りすべてのレースでオスカーの2位に入るだけでもチャンピオンになれる。そういう状況は、メンタリティに影響を与えるのか?リスクを減らして着実にいこうと考えるのか、それともやっぱり早く決めてしまいたくて全開で行くのか?

ランド・ノリス:いや、ここまでうまくやってこれた理由は、全開で走って、混乱を避けてきたからなんだ。後ろでゴタゴタに巻き込まれるより、プッシュしたほうがむしろ安全だったりする。だから「長期戦で着実に」っていうのは、僕には正しい考え方じゃない。僕はこの週末、勝つためにここに来てる。次のカタールも勝つつもりで行く。選手権のことはあまり考えずに、目の前の週末に集中する。それが僕のスタイルだ。もちろんレース中はリスクの度合いで判断は変わるけど、そういう判断は僕は割と上手くできていると思う。だから、特に何か変えるつもりはない。もう1つのレース週末として、普通に臨むよ。

Q:(アンドリュー・ベンソン – BBC Sport)
ランディ、メンタル面について質問だ。今年、心理的にどうやってバランスを保ってきた?「一戦ずつ」って言うのは簡単だけど、実際にやるのは難しい。特にシーズン中盤、34ポイント差がついた時なんかはどうだった?

ランド・ノリス:10分くらいかかる答えになるかもだけど、短くまとめてみるね。
良い仲間に囲まれてること。これが一番シンプルな答え。本当に素晴らしい人たちに支えられてる。良い週末でも悪い週末でも、僕のことを一番に考えてくれて、正しい方向に導いてくれる。メンタル的に落ち込んだ時に、持ち上げてくれる人たちがいる。僕が今年うまくいってる理由は2つあると思う。1つは、僕自身がより良いパフォーマンスを出せるようになったこと。そしてもう1つは、悪い時でも必要以上にネガティブにならずにいられるようになったこと。自分自身をもっと信じられるようになった。今季は何度も、予選後に「これはまずいな」って感じたことがある。特にシーズン序盤はひどかった。ペースは出ないし、理由もわからないし、「明日こうすれば大丈夫」って確信もない。でもそこから立て直した。プラクティスから予選へ、あるいは予選から決勝へと。そういうことを何度も経験したから、今では「たとえ今週末ダメでも、以前も立て直せたし、今回もできるはず」って思える。それがとても心強いんだ。だから、何か一つの要因があったわけじゃない。これといった決定打もない。でも、トラック外でのいろんな人たちとの取り組みや、サーキットでの努力がすべてのベースになっている。

Q:(マックス・ハウプト – DPA)
この先数日の天気予報について、どう思ってる?

ランド・ノリス:うん…寒いよね。それが一番大きいと思う。前の年と同じで、とにかく寒い。だからさっき言った通り、タイヤのグレイニングなんかがすごく難しい。僕の知る限り、木曜から金曜にかけて全部雨だと思う。金曜のFP3までは少し残るかもしれないけど、土曜の予選はたぶん大丈夫だと思う。
だから、そこまで大きな影響はないかな。でも、雨の中のこのサーキットは本当に難しい。ストリートサーキットだからミスの余地も少ないし、スピードも結構ある。白線とかペイントとか、あれがめちゃくちゃ滑るんだよね。クルマの中にいると、本当に嫌な感じなんだ。乾かないままになる可能性もあるし、気温が低いからそれも大変。でもチャレンジとしては面白いと思う。とはいえ、できればドライで走りたいかな。

Q:(ロナルド・フォルディング – Motorsport.com)
またランディに戻るけど、メンタルの話に関連して。ザントフォールトのDNFのあと、マインドセットに何か変化はあった?例えば「もう失うものはない」ってことでリスクを取るようになったとか。それと、さっき「ネガティブになることもあった」と言ってたけど、ザントフォールトが今季一番辛い瞬間だった?それとも、シーズン序盤のマシンの苦戦のほうが辛かった?

ランド・ノリス:いや、むしろ今の僕がここにいるのは、シーズン序盤のおかげだと思ってる。
今年の序盤は本当に酷かったけど、それが逆に集中力を高めてくれた。オーストラリアとか、いくつか良いレースもあったけど、全体としてはしんどかった。でもその辛さがあったからこそ、改善すべき点に向き合って、いろいろ取り組むようになった。だから、今のこの強さがある。
みんな「ザントフォールトが転機だった」って言うけど、実際にはその前から変化は始まってたと思う。ザントフォールトのレース後の僕のコメントを見てもらえればわかるけど、意外とポジティブだったと思う。もちろん嬉しくはなかったけど、選手権争いをしている中で35ポイント差がついたわりには、そこまで落ち込んではいなかった。土曜日の予選だって、オスカーに0.01秒差でポールを取られたけど、「もう終わった」みたいには思わなかった。レースペースもそれなりにあったしね。
だから、変化があったとすればザントフォールトより前。ザントフォールトの結果はポジション的には痛かったけど、すでに流れは変わり始めていた。ザントフォールトが終わったことで、もう一度集中する時間ができて、それが結果としてはっきり出ただけ。だから、あれが転機だったというよりは、その前から全部始まってたんだ。


パート2:ジョージ・ラッセル、フェルナンド・アロンソ、マックス・フェルスタッペン

Q:まずは昨年の勝者から始めましょうか。ジョージ、昨年はポールポジションから圧勝だったが、今年も再現できる自信は?

ジョージ・ラッセル:そうだね。昨年は僕たちにとって素晴らしいレースだった。クルマは涼しいコンディションで非常にうまく機能していた。でも、現実的に考えないといけない。1年前に成功したからといって、今年も同じようにいくとは限らない。今年のシンガポールでは優勝したけど、去年はひどいレースだった。だから、今週末が同じようになるとは限らないと思う。レッドブルなんかは、ローダウンフォース仕様で大きく進化してる。モンツァでもバクーでも勝ってるしね。だから、彼らも強いと思うよ。

Q:トトが冗談で「去年のクルマを持ってきた方がいいんじゃないか」と言っていたけど、今年のクルマの方が万能性がある?去年特に良かった部分が失われてしまった可能性もある?

ジョージ・ラッセル:確かに、そうだね。誰もがシーズン全体で強いクルマを作ることを目指してる。去年のクルマは特に涼しいコンディションでは非常に優れていて、そのおかげでチームとしての勝利数は多かったけど、選手権では差がついてしまった。僕たちは昨年、選手権で4位だった。今年は2位争いをしてる。つまり、今年のクルマはより多様なサーキットに対応できるようになっているけど、その分、特定の週末では競争力が少し劣るかもしれないね。

Q:コンストラクターズ選手権では現在2位で、レッドブルに32ポイント差をつけている。このまま3戦を乗り切れる自信は?

ジョージ・ラッセル:正直なところ、流れはすぐに変わるんだ。例えばチームで1-2を決められれば、一気に形勢が変わる。オースティン、メキシコでは良くなかったけど、ブラジルではチームとして大量得点を挙げた。だから油断せず、1戦1戦を確実に戦うことが大事だと思ってる。もちろん目標は2位でフィニッシュすることだけど、同時にもう1勝したい。この次の2レースがそのチャンスだと思ってる。

Q:最後にもう一つ。今週末でF1参戦150戦目だ。ランドと同じく、時間の経過が早いね。7年間の中で、印象に残るハイライトとローライトを1つずつ教えてくれる?

ジョージ・ラッセル:あっという間だよね。僕は右に座ってる彼に追いつくにはまだまだレース数が必要だけど、やっぱりハイライトは初レースかな。F1という夢を現実にできた瞬間だったからね。今はレース数がとにかく多いし、シーズンも過酷だ。でも、こういう小さな節目を迎えることで、自分が夢を生きているんだと実感できる。僕たちはみんな、子どもの頃からF1ドライバーになることを夢見てきた。だけど、週ごとに競争に没頭してると、そのことを忘れがちになる。だから、こういう時に少し振り返る余裕ができるんだ。

Q:今週末の健闘を祈るよ。ありがとう、ジョージ。では、フェルナンドに行こう。記録として言っておくと、君は2010年に150戦を迎えていたわけだが、ジョージが話していたコンストラクターズ選手権について聞かせてほしい。アストン・マーティンは今どの位置にいて、残り3戦でレーシング・ブルズを捉える可能性はあると思う?

フェルナンド・アロンソ:正直、どうだろうね。週末の展開次第になると思う。最近はハースがかなりポイントを取ってきてるし、前を走るチームだけでなく、後ろのチームも気にしないといけない。アブダビまでずっと接戦になると思うから、今週末から全力を尽くすよ。

Q:その今週末について聞きたい。昨年のラスベガスではチームとしてあまりいい結果じゃなかった。今年はもっと良い週末にできそう?

フェルナンド・アロンソ:見てみよう。ジョージが言ってたように、去年シンガポールで悪くて今年は勝ったみたいに、ラスベガスでは去年苦しんだから、もしかしたら今年は何か戦えるかもしれない。でも、常に接戦になると思う。予選はストレスの多い展開になるだろうね。Q1、Q2、できればQ3へ進めたい。そして決勝では様子を見ないと。去年はタイヤのグレイニングが問題になったのを覚えてるから、明日のフリー走行ではセットアップでそれを抑え込む必要がある。天気もあるしね。昨日は雨、今日も予想以上に降った。だから、何が起きてもいいようにしておかないとね。

Q:もし雨になった場合、このコースはどんな感じになると思う?

フェルナンド・アロンソ:楽しくはないよ。まったく楽しくない。速いサーキットだし、照明の下では視界もかなり厳しくなるだろうね。しかも、ドライタイヤでもグリップレベルが低い。気温も低いし。見てる分には面白いかもしれないけど、ドライブする側にとっては楽しくないと思う。

Q:ありがとう。今週末の健闘を祈るよ。そしてマックス、君に移ろう。ブラジルでは素晴らしいレースだった。同じようなフィーリングをラスベガスで感じられたら、勝利を狙えると思う?

マックス・フェルスタッペン:ブラジルを振り返ってみると、まあ、そうだね。レースペースはかなり良かった。もっと前からスタートしたかったけど、後方からの追い上げも楽しかったよ。最後の周まで戦いが続いたしね。2位争いだったけど、すごく楽しめた。今週末も競争力があればいいね。

Q:チャンピオンシップについても聞かせてほしい。現在ランドに49ポイント差。君はアウトサイダーではあるけど、諦めるつもりはないよね?残り3戦をどう戦うつもり?

マックス・フェルスタッペン:いつも通りだよ。特に変わらない。ポイント差が大きいから、あまり意識はしてない。僕にできることも少ないしね。これから運もかなり必要になる。だから、個人的にはあまり考えていない。

Q:タイトル争いの結果に関係なく、今年はクルマが難しい中でも素晴らしいレースをしてきた。自分のパフォーマンスとしては、F1でベストのシーズンだったと思う?

マックス・フェルスタッペン:良いシーズンだったのは確かだね。毎年、もっと良いドライバーになろうと努力してるけど、それは簡単じゃない。でも、なるべく一貫性を持って、クルマの力を最大限引き出そうとしてきた。その点では、ほとんどのレースでうまくできたと思う。それには満足してるよ。でも、正直なところ、シーズンの大半では自分が望んでいた位置にはいなかった。つまり、本当のタイトル争いはできていなかったからね。もちろん、勝てたレースはすごく楽しかったし、良い思い出になってるけど、悪い時はやっぱり辛かった。ただ、夏休み明けには100ポイント以上の差がついていた状況から巻き返せたのは良かったと思う。運もあったとは思うけど、シーズン終盤にしっかり結果を出せたのは誇りに思っていいと思うよ。


フロアからの質問

Q:(デイビッド・クロフト – Sky Sports F1)少し英国的な質問になります。雨について話しましょう。フェルナンドは「見る分には楽しいが、運転するのは楽しくない」と言っていました。でも、マックス、ジョージ、明日、そしてもしかすると金曜日も、雨が降る可能性は高いです。どこが難しくなりそうですか?そして、ウェットコンディションのラスベガスという新たなチャレンジを楽しみにしていますか?

ジョージ・ラッセル:雨が降るとチャンスが生まれる。だから、通常ならそのチャンスに備えるものだ。でも僕らにとって、カレンダーの中で優勝争いができそうだと考えていたレースをひとつ挙げるなら、それがこのレースだった。だから、すべてのレースの中で、ここだけはウェットになってほしくないというのが本音だ。でも、それでも自信はある。フェルナンドが言ったように、かなり寒くなる。タイヤを適切な温度に持っていくのが難しい。市街地サーキットだし、白線やバンピーなセクションもある。ミスするドライバーが出るだろうし、自分がそのひとりにならないように気をつけないといけない。

マックス・フェルスタッペン:まあ、雨が降れば路面は濡れる。滑りやすくなる。正直、あまり楽しみではない。僕はドライレースのほうが好きだ。ここはもうすでにすべてを理解して、機能させるのが難しいサーキットだから。だから、もっとシンプルな状況のほうがありがたい。でも、もしトラックが冠水したら……まあ、走行時間が減るのは悪くないかもしれないね。

Q:(レイチェル・ブルックス – Sky Sports F1)マックス、ちょうど1年前、ここでチャンピオンを決めましたよね。そのあとペンドックで、ランドに「君の時は来る」といった趣旨の言葉をかけていました。今、彼はチームメイトとあなたとの争いの中で、何かを掴みかけています。今年のランドに、去年とは違う何かを感じますか?今も仲は良いですか?このことについて話すことはありますか?

マックス・フェルスタッペン:最近は、週末がうまくまとまっているように見える。だから、そういう意味ではたしかに少し違っている。でも、それは当然のことでもある。毎年、人は成長するし、過去のミスや「もっと良くできたはずだ」と思う週末から学ぶものだ。それはランドに限った話じゃなく、誰にでも当てはまる。僕が去年言ったことは本心だ。嘘ではない。それは今シーズンを見れば明らかだ。時には、少し辛抱強くなって、自分のタイミングを待たなければならない。

Q:(ティム・ハウラニー – TSN)マックスに質問です。ザントフォールトからここまで、印象的な連続ポイント獲得を続けています。チャンピオン争いはまだ射程圏内にあると感じていますか?

マックス・フェルスタッペン:うーん、残り全部に運が味方すれば、という話になるだろうけど、正直、そういうことは考えていない。ポイント差は大きいし、僕はただ良い週末を過ごしたいと思っている。最後まで良いパフォーマンスを続けたい。そしてアブダビが終わったら、一区切りつけて、少し休んで、また来年に備える。

Q:(パナギオティス・セイタニディス – Ant1 TV)3人全員に質問です。数年前、ラスベガスのストリップでレースをするなんて言われたら、誰もが信じなかったでしょう。もし、次に「クレイジーな」場所でレースをするとしたら、どこがいいと思いますか?

ジョージ・ラッセル:ロンドンかな。ロンドンで市街地レースをするなんて、誰も想像できないと思う。でも、ラスベガスだってそうだった。だから、ロンドンでのレースを見てみたい。

Q:フェルナンドはどうですか?

ジョージ・ラッセル:フェルナンド・アロンソのカートトラックだな。

フェルナンド・アロンソ:ああ、僕の地元だね。僕のカート場をちょっと拡張して……考えられないような話だけど、ここだって昔は考えられない場所だったし。

マックス・フェルスタッペン:北極。

Q:(トム・スラファー – DAZN Spain)フェルナンドに質問です。コンストラクターズランキングで、チームはレーシングブルズやハースと6位争いをしています。残り3戦はそれぞれまったく異なるタイプのレースですが、どこでクルマのパフォーマンスが良くなりそうですか?どの週末が最もポイントを獲得するチャンスがあると思いますか?

フェルナンド・アロンソ:それは難しいね。今年見てきた通り、期待していたサーキットで思ったほど走れなかったこともあったし、逆に驚くほど速かったところもあった。だから、どの3戦が僕らに合っているかを言うのは難しい。でも、3戦とも全力で戦うよ。

Q:(マーラ・サンジョルジオ – Sky Sports Italy)ジョージに質問です。レッドブルが低ダウンフォースのサーキットで進歩したと言っていましたが、マクラーレンには触れませんでした。今回のレースでは、彼らがライバルになるとは思いませんか?あくまで理論上の話として。

ジョージ・ラッセル:正直、そうは思っていない。もしメルセデスを除外して、誰がこの週末勝ちそうかを予想するなら、ここはマクラーレンがいつもより苦戦するサーキットだと思う。カナダでは唯一表彰台を逃したし、バクーでも同じだった。このサーキットはその2つに少し似ている。寒さ、路面の性質、C5タイヤ、そして低ダウンフォース構成。バクーもラスベガスも同じだ。ただ、いつだって予想外のことは起きる。今のQ3は非常に拮抗しているから、魔法のようなラップを決めてポールを取れれば、週末の展開がまったく変わる。だから、彼らも上位には来ると思うけど、レッドブルのほうがチャンスはあると思っている。

Q:(アレッサ=ルイーザ・ナウヨクス – RTL TV)マックスへのフォローアップです。今シーズンの苦しい時期について触れていましたが、そういった状況があなたに何か変化をもたらしましたか?

マックス・フェルスタッペン:いや、特に何も。そういう状況になったら、それを受け入れて、次のレースでより良くしようとするだけだ。チームとして一丸となって、マシンを速くしようとした。いくつかの週末で犯したミスからも学んで、もっと競争力を高めようとした。それだけだよ。

Q:(ルーク・スミス – The Athletic)3人に質問です。オスカーのブラジルでのペナルティが、「レース中の接触に関するルールや判断基準」の議論を再燃させています。彼はあのペナルティを「受け入れがたい」と言っていました。今後のガイドラインや、スチュワードの判断について、どのように考えていますか?F1における「レースインシデント」はもう存在しないのでしょうか?

ジョージ・ラッセル:非常に難しい問題だ。あくまでガイドラインはガイドラインであるべきだ。たとえば、「ロックアップしている=コントロールを失っている」と判断される傾向があるけど、それはケースバイケースだと思う。ブラジルのあのコーナーは、内側がバンクになっていて、内側のタイヤには荷重がかかっていない。だから、そのタイヤは接地すらしていないし、ロックしてもコントロールを失っているわけじゃない。だからこそ、すべてのコーナー、サーキット、インシデントを個別に判断すべきなんだ。毎回同じスチュワードがいれば、そういった話を直接できるし、たとえばブラジルのターン1でF1マシンがどういう挙動になるか、という特殊性を説明できる。でも今はそれができない。スチュワードもベストを尽くしてくれているし、ほとんどの場合は正しい判断をしている。でも、誰もが納得するとは限らない。難しい問題だよ。

マックス・フェルスタッペン:ここではコメントを控えたい。ここで話しても解決しないしね。ジョージがうまく説明してくれたよ。

Q: (Jenna Fryer – Associated Press)マックス、2023年にここに来たとき、君はこのグランプリはレースというよりイベント過剰だと思っていたよね。でもその年にレースで勝って、2024年はここでチャンピオンを決めた。最初の年の前に感じていたことと、今では違う気持ちになっている?

マックス・フェルスタッペン:いや、いい気分だよ。食事も素晴らしいし、昨夜はいいディナーを楽しんだ。ホテルもいい。あと、あまり喋りすぎないことを学んだんだ。というのも、その方が自分のためになるし、見出しも減るからね。みんなにとってもその方が安全だと思う。でも楽しんでるよ。F1の前から何度もここに来てるし、いつも楽しく過ごしてる。

Q: (François David – Journal de Montréal)マックス、過去9戦で176ポイントを獲得し、7度の表彰台、3勝を挙げている。クリスチャン・ホーナーがチーム代表のままで、君がタイトル争いに食い込んで逆転する可能性はあると思う?

マックス・フェルスタッペン:それ、すごく変な質問だと思うよ。なぜ今になって突然そういう話になるのかわからない。僕たちは49ポイントも縮めたんだよ?理由は自分で考えてくれればいい。僕たちはここ数戦、本当にいい仕事をしてきた。他に何を言えばいい?全力を尽くしてる。あるサーキットでは車の調子が良かったし、そうじゃないところもあった。でも、それだけだよ。

Q: (Jack Smith – Motorsport Monday)マックス、最近ガブリエル・ボスレットとのポッドキャストに出演して、彼について高く評価していたよね。今年はキミのような他のルーキードライバーにも公に好意的な発言をしている。その理由は?自分がルーキーだった頃に他のベテランドライバーから受けた扱いと関係してるの?

マックス・フェルスタッペン:いや、単に彼らがいいやつなんだよ。それに、僕は基本的にオープンな人間だと思う。確かに、彼らは僕がカートをしていた頃とは世代が違うんだ。でも、すごく気が合うし、すごく速いドライバーたちだ。自然に仲良くなれるなら、そうすればいいじゃないか。

Q: (Ian Parkes – Racing News 365)マックス、夏休み以降の君の調子を見ていると、今シーズンの前半に勝てる車がなかったことが、結局この49ポイント差という結果につながっていると思う。振り返って悔しさはある?

マックス・フェルスタッペン:正直言って、それほどストレスは感じてない。もし全てを事前に知っていれば、今ごろ億万長者になっていたよ。人生ってそんなものだ。事前に何が起こるか、どうすれば良かったかが分かれば、人生はずっと楽になる。でも、誰だって学びながらミスもする。僕たちはロボットじゃない。そういうものなんだ。だから、そんなにがっかりはしていない。チームはシーズン最初から今まで常に全力を尽くしてくれている。他に何ができた?本当に全てを試したよ。これまで素晴らしい年を過ごしてきたけど、今年はそれほどではなかった。ただそれだけだ。F1は競争の激しい世界なんだ。今年は、他のチームが僕たちよりも良い仕事をしたというだけのこと。

Q: フェルナンド、シーズンについて話している流れで、アストンの2025年についても聞かせて。チームとして今年学んだ最大の教訓は何だと思う?

フェルナンド・アロンソ:今年はこれまでとはまったく違うシーズンだったと思う。2026年のレギュレーション変更が大きな要因で、2025年はその狭間のシーズンだった。そして、2025年の車に十分な準備ができなかった。2024年のベースカーがあまり良くなかったから、その後半は特に競争力がなかった。そして残念ながら、それが2025年のベースにもなってしまった。2026年に向けてどのチームも注力している中で、今年は方向性を見つけるのに苦労した。アストンにとっては厳しい一年だったし、満足できるものではなかった。複雑な状況だったと思う。

Q: (Andrew Benson – BBC Sport)これはマックスとフェルナンドへの質問だ。君たちはお互いを尊敬している様子がよく伝わってくるが、その理由は何だと思う?お互いのどんな点を見てそう感じている?あるいは、自分自身の姿を相手に重ねているところがある?

フェルナンド・アロンソ:どうだろうね。スペインって、F1がそれほど盛んじゃない国なんだ。マックスの場合、ヨスはすでにトップドライバーだったけどね。実際、僕はヨスと何年かレースをして、マックスとも8年一緒に走ってる。この世界は厳しいし、若い頃にF1に来て成功すると、”いいやつ”として扱われないこともある。政治的に正しくないとか、システムに馴染んでいないとかね。でも、そういう時に自分らしくいられる人間こそ、本物だと思う。マックスにもそれを感じる。それに、彼の強い個性とは別に、結果や才能も圧倒的だった。F1だけじゃなく、ジュニアカテゴリーやカート時代から、彼がすごい存在だってみんな分かってた。だから僕は最初から彼をすごくリスペクトしてる。

マックス・フェルスタッペン:僕からはあまり付け加えることはないかな。僕が好きなのは、フェルナンドの考え方と人間性だ。彼はいつでも自分らしくいて、それがすごくいいと思う。何を考えてるか分かるし、裏表がない。それに、F1に来る前、フェルナンドがレッドブルと戦ってた頃、僕はテレビで応援してたんだ。アンダードッグなのに結果を出して、勝てるはずのない車で勝ったりするのを見て、本当に魅力を感じた。ドライバーとして、そういう姿には惹かれる。彼は真のファイターだし、今でもそうだ。その年齢でまだやってることにも敬意を持ってる…ごめん(笑)。でも、スポーツへの情熱がずっとあるのは素晴らしいことだと思う。

Q: (Sahil Kapur – NBC)フェルナンド、さっきヨスとレースした話をしてたけど、今でも素晴らしい走りをしているよね。どうやってそのレベルを保っている?今がキャリア最高の状態だと感じてる?あと、あと何年くらい続けられると思う?

フェルナンド・アロンソ:自分のパフォーマンスが良くなっているのか悪くなっているのかは、競争力のある車や環境がないと、なかなか分からないんだ。気持ちや闘争心が刺激されるような状況じゃないと、自分の本当の力は見えてこない。でも、2023年は表彰台に上がる車があって、それがいい例だったと思う。自信はあるし、来年はチームが改善して、もっと大きな目標を目指せると信じてる。そして、自分が速くて、モチベーションもあって、体力的にも問題ないと感じる限りは、レースを続けるつもりだ。

Q: (Alex Kalinauckas – The Athletic)ジョージとフェルナンドに質問です。今のレギュレーションの車で残り3戦となった。低速では運転しづらくても、高速では楽しい部分もあると思う。そういった点で、この世代の車を惜しむ気持ちはある?それとも、来年の新しい車を楽しみにしている?

フェルナンド・アロンソ:僕はこの世代の車を懐かしむことはないと思う。ただ、来年の車はおそらく今より遅くなるから、それで今の車が恋しくなるかもしれない。でも僕たちはいつだって、速く走ることを求めている。この車は明らかに重すぎるし、大きすぎる。グラウンドエフェクトや最低地上高の制限で、楽しくもないし、前の車を追いかけるのも難しい。今のレギュレーションの狙いだった「接近戦をしやすくする」という目標は、最初の年は少し効果があったかもしれないけど、その後はうまくいかなかった。だから、あまり惜しむ気持ちはない。

ジョージ・ラッセル:僕もフェルナンドとほぼ同意見だね。この世代の車は、正直言ってあまり楽しいものじゃなかった。すごく硬くて、地面に張り付いていて、いろいろな難しさがあった。それに、2017年以降、車はとても大きくなって、別の問題も出てきた。だからみんな、新しいスタートを楽しみにしていると思う。車が小さく、軽くなる方向に進んでいるのは良いことだ。ただ、十分な変化かと言えば、まだ足りないかもしれない。でも、いつもそうなんだ。過去のものでも良かったところだけ覚えていて、悪かった部分は忘れる。だから、きっと今の車の高速性能は懐かしくなるかもしれないけど、ネガティブな面は忘れてしまう。それが人生ってものだと思う。