F1は2026年に「義務2ストップ」を導入する案を本格協議する見通しだ。メキシコGP後、ピレリのマリオ・イゾラは“アイデアとしては前向きに検討できる”としつつ、実務面の課題も指摘した。議題はスポーティング・アドバイザリー委員会に続き、次回F1コミッションでも取り上げられる予定だ。
背景には近年のターン1勝負+ワンストップという流れがある。現在のタイヤは頑丈になり劣化が小さく、各チームはミスやトラフィック・リスクを避けるため最小ストップを選びがちで、戦略の多様性が損なわれている。
検討されるオプションは三つ。
①週末に選定された3種のスリックをすべて使う義務
②コンパウンド使用義務を撤廃して2ストップのみを義務化
③各タイヤの走行距離に上限を設ける案(レース距離の45%以下)
利点と副作用を比較しながら、テストとシミュレーションで詰める段取りだ。
前例としては、2025年モナコGPで“3種使用=実質2ストップ”の特別規定が導入され、単調化しがちな市街地レースの活性化を狙った。また2023年カタールGPでは安全対策として“1セット18周まで”の上限が課され、複数回のピットインが強制された。この措置は、2ストップ以上が走りの自由度を高める可能性を示した例と言える。
一方でイゾラは、2ストップ義務だけでは“同じ戦略に収束する恐れ”が残るため、むしろコンパウンド自由の2ストップ案が多様性を生むとの見方も示す。2026年の新空力規定で“追従性”が向上すれば、介入自体が不要になる可能性もあるとして慎重だ。今後は関係者間で限定的な導入や追加検証を進め、結論を探る流れになる。

