ニコ・ヒュルケンベルグは、ザウバー/アウディが2026年型マシンのシミュレーター走行をまだドライバーに課していない理由について語り、現時点では2025年への集中が最優先であることを強調した。
多くのドライバーはすでに2026年仕様のF1マシンをシミュレーターで体験している。しかし時間が限られる中、各チームの重点は徐々に来季の開発へとシフトしつつある。そんな中、ザウバー/アウディはまだ自チームのドライバーを新型マシンに乗せてはいない。
ヒュルケンベルグによれば、それは“誤った基準”を与えないためだという。シミュレーター上の挙動を実車に近づけるため、調整を続けてからドライバーに試させたいというのがチームの判断だ。ドイツ人ドライバー本人も、それについて大きな不満はなく、視線は依然として2025年に向けられている。
「まだ今の段階では状況がどんどん進化していて、変化が激しいんだ。だからチームは誤った印象や基準を与えたくないんだと思う。だから今は少し様子を見ているんだ。正直、他のドライバーがどう言っていようと気にしていない。最終的にはシミュレーターに乗れば、そのときに感じるものがすべてだ」
「当然、その時点での見解や感触は出てくる。でも新しい規則の下では全く違った世界になることは間違いない。実際に来年サーキットで走れば、すべてが新しい挑戦になる。だから重要なのは、新しい環境を探り、学び、そして素早く順応していくことなんだ」
そう語ったヒュルケンベルグは、残り8戦の戦いに集中していることも改めて強調した。
現在、好調な戦績を重ねるザウバーはコンストラクターズ選手権で8位につけ、55ポイントを獲得している。5位のウィリアムズまでは31点差だが、6位アストンマーティンとは7点差、7位のビザ・キャッシュアプリRBとはわずか6点差という接戦だ。
まさに“全てがまだ勝負の中”という状況である。
「もし僕がこの8戦を戦わなければ、今シーズンは良い形で終われないだろう。僕は今年にとても強く関わっていて、完全に投資しているんだ。5つのチームとの争いはとても接近していて、全てがまだ開かれていると思う」
「一つの週末で勢力図が大きく入れ替わるのを誰もが見ているはずだ。もちろん、裏では来年に向けて全てが動き続けているけど、今年も本当に大事なんだ。だから僕はまだ今年に全力で集中している」
ヒュルケンベルグは、残りシーズンを戦い抜く覚悟を改めて示した。

