1997年F1王者ジャック・ヴィルヌーヴが、角田裕毅を巡る評価に苦言を呈した。メキシコGPでの走りについてローレン・メキース代表が「ここ最近で最高の内容」と称えたことに対し、ヴィルヌーヴは「チームが過度に守り、真のパフォーマンスを見誤らせている」と主張。角田の貢献度が結果やペースで十分に裏づけられていないのに、ポジティブな説明が先行していると批判した。実際、メキシコでは長いピットストップが響き入賞機会を逃したが、彼はそれ以前から中団争いで決定打を欠いていたというのがヴィルヌーヴの見立てだ。

一方で、メキースはレース運びや対処能力の向上を評価し、次戦に向けた自信につなげたい考えを示している。メディア上で両者の評価が分かれる中、角田に求められるのは、単発の速さだけでなく戦略やタイヤマネジメントを通じて確実にポイントへ結びつける実効性だ。強い擁護か辛辣な指摘か――相反するメッセージが飛び交う状況で、本人が結果で沈黙させられるか。サンパウロでの週末は、その試金石となる。

ヴィルヌーヴはさらに「チームの言葉が期待値の基準を曖昧にし、改善すべき弱点を覆い隠してしまう」とも述べ、過剰な擁護は長期的には選手本人に不利益をもたらすと警鐘を鳴らす。具体的には、予選の一発、オーバーテイクの質、接戦時の意思決定など“テーブルにもたらすもの”の明確化を要求。評価の透明性と一貫性こそがチームの競争力強化につながるというのが彼の論旨だ。議論は厳しいが、外部の辛口評価が刺激となり、角田が走りで論争を断ち切れるのかに注目が集まる。