
今週末、F1はオーストリアGPを迎える。舞台はレッドブルのホーム、ツェルトヴェグのレッドブル・リンクだ。チームのアドバイザーであるヘルムート・マルコは、オーストリアGPに向けてアップグレードを投入することをオーストリア紙Kleine Zeitung紙に明かし、さらに1週間後のシルバーストンでもいくつかの新パーツが投入されると語った。
コンストラクターズタイトルはすでに絶望的だが、マックス・フェルスタッペンによるドライバーズタイトルの逆転には、まだわずかな希望を抱いているという。現在、フェルスタッペンはランキング首位のマクラーレンに対して43ポイントの差をつけられている。
「その差を埋めるための0.3秒の改善は、不可能じゃない。ただし、それをやるなら今しかない」
どのチームも同じジレンマに直面している。それは、2025年型マシンの開発をどこまで続け、いつ2026年の新しいレギュレーションに専念するかという判断だ。
「いつかは、もう(今シーズンの)開発は終わりと決断することになる」
「理由は二つある。ひとつは時間、もうひとつは新パーツの製造に時間がかかるということ。そして予算制限もある。リソースをどこに割くかという問題だ。予想では、シルバーストンか遅くともスパの後には、完全に新車開発へとシフトする決断が下されると思う」
「新車で重要なのは3〜4つある。内燃エンジンは、私の自宅の芝刈り機よりも小さくなるけど、それ自体は問題ない。信頼性さえ確保できれば、決定的な要素にはならない」
「バッテリーがカギになる」とマルコは続けた。「僕たちはまずは標準的なソリューションからスタートする。そして燃料も極めて重要な要素だ。この分野での開発は、パートナーのエクソンと非常に順調に進んでいる」
レッドブルにとってもう一つの課題はドライバー陣だ。現状、チームはフェルスタッペンに大きく依存しており、彼に匹敵するチームメイトを見つけるのに苦戦している。
その中で、2026年に角田の後任として有力視されているのがイサック・ハジャーだ。
「今シーズンは落ち着いて締めくくる。夏休み以降にしっかり考えたい。リアム・ローソンや角田裕毅とも、長期契約を結んでいる」
「マクラーレンに対抗するには、全てが100%完璧でなければならない。でもそれは簡単なことじゃない。我々には実質、1人のドライバーしかいないんだから。誰を選んでも結果は同じ。2016年にマックスがF1に乗り始めて以来、2人目のドライバーは誰であれ、引退するか、失敗するか、マックスに打ちのめされる運命にある」
一方で、フェルスタッペンが突然チームを去るのではという噂も根強い。一部の関係者は、最近のフェルスタッペンがF1に対する集中力を欠いているのではないかと感じているという。
「マックスはサーキットに来れば完全に集中している。確かに、以前ほどシミュレーターには時間を割いていない。でもそれは秘密でもなんでもない。彼はGTレースを楽しんでいるし、“Verstappen.com”のチーム運営にも深く関わっている。それが彼のモチベーション維持にもつながっているんだ」
現在82歳のマルコ自身も、後継者としてセバスチャン・ベッテルの名前が浮上していると報じられている。
「私の契約は2026年末まで続く。今はチームを再び勝利の軌道に乗せることが最優先だ。そのポジションについて議論することはない。でも彼はすべてを非常に熱心に追っている。後継者問題は重要なテーマの一つだ。はっきり言えば、多くの人がこのポジションを狙っているよ」
「ただ、夏休みまでは戦いに集中して、今のギャップを縮めることが最重要課題だ。株主のマーク・マテシッツ(レッドブル創業者ディートリッヒ・マテシッツの息子)とチャレーム・ユービッディヤ(タイの億万長者実業家であり、レッドブル社の共同所有者)もそれぞれに考えがある。時には、片方が望むことをもう片方が望まないという場面もある。それも簡単なことではないんだ」