2025年のF1は、シーズン最初のトリプルヘッダーを締めくくり、サウジアラビアGPを迎えようとしている。マクラーレンはバーレーンでその強さを確固たるものとした。それは、オスカー・ピアストリの圧倒的な勝利と、ランド・ノリスによる追い上げで明白となった。2位に割って入ったジョージ・ラッセルは、バーレーンGPで見られた要素を分析し、とりわけマクラーレンのパフォーマンスにコメントを残している。

「2位を取れたのは、我々にとって本当に驚きだった。彼ら(マクラーレン)は圧倒的な速さで全員を打ち負かすと思っていた。でも、彼らは全てが裏目に出てしまった。たとえば、ジャンプスタートによるペナルティや、ルイス・ハミルトンにポジションを返す必要があったことだ。それが2位を逃す要因になった可能性が高い。」

それでもラッセルは、マクラーレンが週末を通して見せた強さ、特にオスカー・ピアストリの走りを高く評価している。極端な気温下でのレースは、タイヤの劣化を招き、競合他チームとの差がさらに広がる傾向にあり、バーレーンのFP3ではその差が1周につき1秒にまで広がっていた。

「我々はバーレーンの前から予測していた。バーレーンは彼らにとって最高のシナリオになるだろうと。そしてその通りになった。だが次に向かった中国では、タイヤの劣化が非常に少なく、気温も極めて低かった。ある意味、彼らにとっては最悪の条件だったはずだ。それでも彼らはポールを取り、レースにも勝った。」

マクラーレンを追いかけるチームにとって希望となるのは、バルセロナGPの週末に導入される予定の、フロントウィングのたわみに関する厳格なテクニカルディレクティブである。アンドレア・ステラとザク・ブラウンが率いるマクラーレンは、このエアロエラスティシティ(aero elasticity 航空機や自動車などの空力構造が空力的な負荷によって変形する現象、素材の弾性)の分野において他チームよりも進んでいると見られている。

「バルセロナは非常に興味深いレースになるだろう。新しいルールでフレキシブルウィングが厳しく制限されるからだ。マクラーレンはその分野で卓越していたし、バルセロナまではそうあり続けるはずだ。勢力図は大きく変わる決定的な週末になる。誰かが後退するか、グリッドが接近するかを見極めることができる。」

しかし、ラッセルはマクラーレンの強さはウィングの弾性だけではないと指摘している。彼らのタイヤマネジメント能力にも優れており、より広い動作温度領域を持つことから、様々なコンディションにおいてグリップと温度の最適化が可能となっているという。

「マクラーレンはタイヤでも素晴らしい何かをやっている。バーレーンのFP3では他を1秒も上回る速さを見せた。そんなことは今まで見たことがない。バルセロナ、ブダペスト、シンガポール、ザントフォールトのようなサーキットでは彼らが最強になるだろう。ラスベガスでは多少状況が変わるかもしれないし、我々にも勝機があるかもしれない。でも、今のところ最も優れたマシンを持っているのは間違いなく彼らだ。マクラーレンに追いつけるかと言いたいところだが…見ただろう? あのクルマが正しいドライバーに握られているとき、彼らはその仕事を完璧にこなし、他の全てより明らかに優れている。」

「ドライバーズチャンピオンシップでは、マクラーレンのドライバーたちのミスにより、数字ほど離されていないように見える。」

シーズン最初の4戦を終えた時点で、コンストラクターズランキングではマクラーレンが首位に立ち、2位のメルセデスに対して58ポイントのリードを築いている。ドライバーズランキングではランド・ノリスが77ポイントでトップに立つが、4位のラッセルとのポイント差はわずか14ポイントである。

コンストラクターズタイトルはすでに明確な方向へ向かっているように見えるが、ドライバーズタイトル争いはまだ決着がついていない。これは、マクラーレンの2人のドライバーがレースごとにミスを重ねており、またパフォーマンスの近さゆえにお互いのポイントを奪い合っているからである。

「我々がランキングで彼らのすぐ後ろにいるのは、彼らのマシンが優れているからというより、むしろ彼らのミスによるところが大きい。あのマシンなら、今季ここまで毎レースで1-2フィニッシュできたはずだ。もちろん、マックス(フェルスタッペン)が1勝し、我々も2位を獲得した。我々もその争いの中にいる…だが彼らがこの先も小さなミスを続けるとは思えない。」