レッドブルF1チームのトップポジションにローラン・メキースが就任したというニュースは、今季苦戦を続ける角田裕毅にとって、歓迎すべき知らせかもしれない。

角田は、開幕2戦を終えてリアム・ローソンに代わり昇格して以降、RB21の扱いに苦しみながら、わずか7ポイントしか獲得できていない。マシンの難しさに加え、シーズンが進むごとに調子を落としているようにも見える。特にオーストリアGP、イギリスGPでは、周回遅れで最下位という屈辱を味わった。

だが、メキースの就任が、そんな彼にとって特効薬になる可能性がある。今シーズン2025年の開幕、当時レーシング・ブルズのチーム代表だったメキースは、昨年までの角田に高い評価を口にしていた。

「ユウキは昨年、大きなステップアップを遂げた。スピードも、技術的な資質も、僕たちを本当に驚かせてくれた」

「昨シーズン、彼は非常に優れたドライバーの一員と呼ぶにふさわしいレベルに到達したと思っている。そして今、我々は次のステップが彼にあるのか問う段階に来ている。僕たちは、まだその可能性があると信じている」

それよりもさらに2か月前、メキースは別の場面でも角田を公に称賛し、ジュニアチームでの成長に目を見張っていた。

「今年の彼の進化は、誰にとっても驚きだったと思う。そして、その驚きがレッドブル・レーシングにも伝わっていればいいと思っている。この世界は結果がすべてで、ドライバーが期待を超えるパフォーマンスを見せた瞬間に、周囲の評価は一気に変わる」

「ユウキにとって大事なのは、トラック上でとにかくハイレベルなパフォーマンスを継続していくことなんだ。そして、僕たちは“走り”を見ればすぐに心変わりする人間ばかりだからね」

さらにメキースはこう付け加えた。

「僕たちは、彼が速いクルマを与えられることを願っている。そしてもちろん、彼自身もより速いマシンと、より大きなチームに挑戦する準備ができていると思っている」

メキースのマネジメントスタイルは、これまでのホーナーのそれとは大きく異なる可能性がある。そして彼は、今後もアドバイザーであるヘルムート・マルコとともにチームを支えることになるが、フランス人であるメキースの柔軟なアプローチが、角田にとって良い方向に働くかどうか注目されている。

角田自身は以前から、「マルコやホーナーの全面的な信頼がある」と公言しているが、それでもレッドブルのシートに座るということは、並外れた責任とプレッシャーがのしかかるという現実を本人が最もよく理解している。

RB21の根本的な問題がすぐに解決するとは考えにくく、角田の苦戦は今後もしばらく続くかもしれない。しかし、ベルギーGPで予定されているマシンのアップグレードとメキースの就任が重なることで、角田のメンタルに良い変化が生まれれば角田がスピードを発揮する可能性は十分にある。