
シンガポールGPで、マクラーレンのチーム内に新たな火種が生まれた。スタート直後、ランド・ノリスが同僚オスカー・ピアストリに強気の仕掛けを行い、両者はホイール同士をヒット。スチュワードはレーシングインシデントと判断したが、ピアストリは無線で不満を示し、レース後も不公平感をにじませた。ノリスは「誰だって同じ状況なら行く」と正当性を主張し、両者の主張は真っ向から食い違った。
結果はノリス3位、ピアストリ4位。マクラーレンは2年連続のコンストラクターズタイトルを確定させたが、ドライバーズ選手権では両者が直接争う構図が続く。シーズン終盤へチーム運営とドライバーズタイトルのバランスはますます難しくなる。
チーム側は「激しいが正当なバトル」との見立て。ザク・ブラウンCEOとアンドレア・ステラ代表は「内部で建設的な話し合いを行う」と火消しに動くが、再びドライバー管理の難しさを浮き彫りにした。
ピアストリは表彰台を逃した直後の無線やパルクフェルメでも不満をにじませ、ノリスは攻めの姿勢を崩さない。次戦以降、タイトル争いが接近すればするほど、スタート直後やピット戦略での譲る/譲らないの駆け引きがチームの最大リスクとなるだろう。
今後、オースティン以降の連戦でマクラーレンがどこまで明確なルールを敷き、当事者2人がどれだけ冷静に線引きできるか——。王座争いとチーム内ダイナミクスのせめぎ合いは、2025年終盤戦の最注目テーマとなった。