
アゼルバイジャンGP予選で、マックス・フェルスタッペンが大混乱のQ3を制して今季6回目となるPP数に到達した。強風と霧雨、6度の赤旗でのアタック中断という特殊条件でも速さを示し、タイトル争い再浮上への機運を一気に高めた格好だ。
この流れを受け、マクラーレン陣営は“楽観”を封印。アンドレア・ステラ代表は、ノリスの後ろから63ポイント差で追ってくるフェルスタッペンについて、「タイトル戦線から外す理由はない」と発言し、RB21の最新仕様やレッドブルの戦略が脅威になり得ると示唆した。とりわけ新品ソフトを残せた場合は「強力な武器」になるとの見立てだ。
実際、レッドブルは近戦で投入したフロアを中心とするアップグレードで、挙動の安定と中高速域の効率を取り戻しつつあると分析されている。マクラーレン優勢の流れに対してフェルスタッペンが割って入る局面が出てきているところで、バクーでもそれが明確になった状態だ。複数のメディアは、マクラーレン側の危機感を伝えつつ「フェルスタッペンは依然としてタイトルに影響を与え得る存在」と報じている。
もちろんシーズン全体の趨勢を決めるには、決勝での大きなポイントの積み上げが不可欠だ。だが、予選での質の高い一発とマシンの手応えが揃いつつある現状を踏まえると、マクラーレンは盤石と言い切れない。ステラ代表の慎重論は、王者が本当に“帰ってきた”のかを見極めるための自戒でもある。残り数戦のチャンピオンシップを大きく揺らしそうだ。