キャデラックF1は2026年のデビューに向け、バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスという経験豊富なラインアップで体制固めを進めている。ボッタスは最新のインタビューで、長年しのぎを削ってきたペレスと組む意義を強調し、「互いの強みを知り尽くしたペアだから、開幕から開発スピードを上げられる」と自信をのぞかせたのである。両者の起用は8月に正式発表され、500戦超のスタート数と16勝という実績が、参戦初年度の安定性と方向付けをもたらすと見込まれている。

新規参戦チームにとって最重要の初期課題は、2026年の新レギュレーションに適合した車体とパワーユニットの開発であり、その検証を支えるのがドライバーの“再現性あるフィードバック”だ。ボッタスはメルセデス時代に培った開発力、ペレスは幅広いチーム遍歴で磨いたセットアップの幅が強みだとされる。

GM傘下であるキャデラックは、北米発の新勢力として商業面でも注目を集める。チームはスポンサー獲得や人材登用を加速させ、欧州拠点の技術体制と米国ブランドの発信力を組み合わせる戦略だ。F1の勢力図が大きく塗り替わる可能性のある2026年に向け、経験と即戦力に軸足を置いた堅実なスタートアップ像を描く。ボッタスが語る自信は、単なる希望的観測ではなく、発足段階からの明確なプランと役割分担に裏打ちされたものだと言える。

今季終盤にかけてはシミュレーターと実車テストで連携を深め、初年度の開発サイクルを短く回す体制づくりが鍵となる。ペレスの“タイヤ理解”とボッタスの“セットアップ安定性”が合致した時、デビューイヤーからサプライズを起こす可能性は小さくない。