
F1カナダGPでのレース後、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、角田裕毅に対して「マックス・フェルスタッペンのセットアップを模倣する必要はない」と語り、自分自身のスタイルを確立するよう促したという。
バルセロナでの苦しい週末を終えた角田は、イモラで失ったアップグレードをカナダで取り戻すことになり、マックスと同じ仕様に戻った。これにより、パフォーマンスの差が開きすぎない形で再スタートを切れたのはポジティブな材料だった。
金曜の走行はまずまずだったが、土曜のFP3でのマシントラブルが予選に影響を及ぼし、ペナルティで最後尾に沈んだ。予選11位相当だったものの、ペナルティにより18番グリッドからのスタートとなった。序盤は堅実に順位を上げたが、周囲のマシンも同じ戦略を採っていたことから、大きく挽回するには至らなかった。
レース後、角田は率直に不満をにじませつつも、過去のレースと比べて混乱は少なかったと認めた。
「ペースは良くはなかったけど、まぁ悪くもなかった。前のレースに比べれば普通だったと思うし、それは良かったと思う。今回はP18スタートでハードタイヤ、しかも周りの車も同じハードだったから、できることは限られてた。うーん…セーフティカーを待ってたけど、それだけだったね」
「少なくともクリーンなレースにはなったよ。予選は本当にひどくて、あの順位は意味不明だった。FP3でたくさん時間を失ったけど、少なくともアップグレードや新しいフロアについて理解が深まったのは良かったと思う。ほぼ最後尾を走ってると、特にここみたいなサーキットではグレイニングが出て、それが全く助けにならなかった。それに、ミディアムタイヤに履き替えてからもずっとトラフィックに引っかかって、クリアな空気の中で走ってタイヤを冷やす時間が一度もなかった。それが一番の問題だったね」
と角田は語った。
ホーナー代表は、厳しい状況下でも角田がよくやったと評価している。グリッドペナルティで厳しい展開となったが、彼のレース内容は上出来だったと語った。
「あのタイヤでワンストップをやりきったレースだったと思う。グレイニングを超えればタイヤの性能は回復する。良い仕事をしていたと思う。ここではオーバーテイクがどれだけ難しいかを見てもらえばわかるはずだ」
「だからこそ、ユウキはこのレースから自信を持っていい。もし予選で通常どおりのポジションにつけていたら、確実にポイントを獲得できていた」
とホーナーは総括した。
さらにホーナーは、過去のF1ドライバーたちが陥ってきた「マックスのセットアップをコピーする」という落とし穴を、角田には避けてほしいと強調した。
「過去のドライバーたちがたどったように、マックスのセットアップを採用しようとするのではなく、自分に合ったルートを見つけるようにしている。ユウキには、自分のスタイルとニーズに合ったものを追求してほしいんだ」
「今週末はその点で少し前進が見られたと思う。イモラの時と同じスペックで、マックスと並ぶ仕様に戻ったしね。だから、今回の週末からはしっかりとポジティブな部分を得てくれればと思っている」

