フェルスタッペンがアメリカGP決勝を完勝した。序盤から鋭い発進で主導権を握ると、ミディアム—ハードの2ストップを迷いなく遂行し、レース全体を自らのテンポに引き込んだ。アンダーカットの脅威にも冷静に対処し、必要な周回で必要なだけタイヤを温存、勝負どころでは一気にペースを上げて差を作る理想的な勝ち筋を示した。

この4戦で3勝。夏以降に見せた苦戦を乗り越え、セットアップの方向性とレース執行の完成度を急速に取り戻した格好だ。ピットワークやアウトラップの精度、そして周囲の動きを読み切る判断が嚙み合い、ミスの少ない勝てる週末の再現性が高まっている。焦りはなく、しかし躊躇もない——王者に相応しい勝ち方だった。

タイトル争いは着実に接近している。ピアストリとフェルスタッペンの差は40、ノリスとフェルスタッペンは26。勢いと心理のベクトルがフェルスタッペン側へ傾いたことが最重要だ。シーズンは最終盤、アメリカでの完勝で王座への道筋を再び自らの手に引き寄せた、重い1勝だった。