
フェラーリで活躍したフェリペ・マッサは、約1年前にFIA、F1、そして元F1最高責任者のエクレストンを相手取り、総額8,200万ドル(約120億円)にも及ぶ訴訟を起こした。
その訴えの核心は、2008年シンガポールGPで起きた「クラッシュゲート」と呼ばれるスキャンダルに関するものだ。マッサはハミルトンに1ポイント差で敗れてチャンピオンシップ2位に終わり、結果これがチャンピオンに挑戦する唯一の年となったが、シンガポールの八百長事件が起こらなければチャンピオンになっていたとされている。



マッサは、2023年にエクレストンが発したコメントを決定的証拠とし、FIAとF1運営陣が2008年シーズン終了前の時点で、すでにルノーがネルソン・ピケJr.に故意にクラッシュさせたことを知っていたと主張している。
この問題を巡る裁判の日程が決まり、初公判はエクレストンの誕生日である10月28日に行われることとなった。 高等法院にはFIAおよびF1の商業権を管理するリバティ・メディアの代表者も出廷する予定である。マッサ側の弁護士事務所「ヴィエイラ・レゼンデ・アドヴォガドス」は声明でこう発表した。
「和解の試みは失敗に終わり、マッサ氏には法的手段以外の選択肢が残されていなかった。彼は歴史的な不正に対する正義と、自身が被った損失の補償を求めている。」
現在43歳となったマッサは、ブラジルのメディア「グローボ」に対し、こう語った。
「この戦いは、スポーツにおける公平性のためのものだ。FIAとFOMが取り組むことを拒否した問題について、裁判所が判断を下すことになる。」
この件について、FIAやリバティ・メディアからの公式なコメントは今のところ出ていない。バーレーンで行われるプレシーズンテストを前に、長年F1を取材してきたジャーナリストのロジャー・ブノワは、スイス紙「ブリック」で次のように報じた。
「この裁判はもはや世界選手権のタイトルを争うものではない。ただし、マッサに対する巨額の補償金が焦点となる。」