
F1日本GPでは、レッドブルとマクラーレンが先頭で激しいバトルを展開する一方、フェラーリとメルセデスはその後方でそれぞれ孤独な戦いを強いられていた。
ルクレールはスタートをうまく決め、ジョージ・ラッセルの追撃を抑えた。一方のルイス・ハミルトンはオープニングラップでイサック・ハジャーを抜いてポジションを上げ、その後は大半の周回で7位を走行した。
ルクレールは、前方を走るオスカー・ピアストリを攻める余力がフェラーリにはなかったと語っており、マシンのパフォーマンス不足を実感した様子であった。マシンのバランスには満足しているものの、アップデートに望みを託しているという点では、ハミルトンも同様であった。ハミルトンはマシのリヤに問題があると示唆していた。
ルクレールとは異なるセットアップと戦略を採ったハミルトンは、セーフティーカーの介入を期待してハードタイヤでスタートしたが、デグラデーションが低くセーフティーカーも出なかったため、アントネッリを捕らえることは叶わなかった。彼はフェラーリがメルセデスより遅かったと感じている。
チーム代表のフレデリック・バスールも、シーズン序盤が理想的なものではないことを認めている。ただし、昨年は0.6秒のギャップがあったのに対し、今年は0.2〜0.3秒程度にとどまっており、今後のアップデートで挽回可能との見方を示している。
レース戦略について
ハミルトン:「結局、セーフティーカーは出なかったので、あまり意味がなかった。ミディアムタイヤの方が明らかにスタートには良かったと思う、特にこの涼しいコンディションでは。全体的に見て、メルセデスの方が僕たちより速い。だからチャールズにあれだけ近づけた。単純に彼らの方が速さがある。僕が後ろについたとき、特定のセクションで彼らの方がはるかに速くて、ついていけなかった。
総合的には、順位を上げられたことには満足している。次のレースで何かポジティブな変化があることを本当に願っている。この3戦では、僕のガレージ側のマシンに何らかのパフォーマンス不足がある。それが分かったのは良いことだ。今日のマシンで出せる限界は出した。」
ルクレール:「正直、少しイライラするレースだった。単独走行で、前のマシンは速すぎた。最初のスティントでは何かできるかと思ったけど、彼らがプッシュし始めたら差が明らかになった。バランスは良かったけど、単純にマシンにパフォーマンスが足りなかった。
現状では、ポイントを最大限に獲得するしかない。それは達成できたし、将来的にはもっと上を目指したい。メルセデスを下したことは良いけど、それが目標じゃない。本当の意味で満足はしていない。」
バスール:「ルイスの戦略はグリッドポジションによる部分と、週末を通してミディアムやハードタイヤを試していなかったことが影響している。我々は同じバスケットに卵を全て入れることを避けたかった。結果的に、レースではタイヤのコンパウンドによる大きな違いはなかった。チームごと、マシンごとに見え方が違っていて読みづらかった。」
苦しんだ要因
ハミルトン:「確認する必要はあるけど、今日は全力を出した。これ以上は無理だった。今週末はマシン後方のパフォーマンスが低下していた。そして予選のポジションも重要だった。もっと前にいても、結局はメルセデスに抜かれていただろう。次のレースでは改善を期待している。現状、僕たちは明らかに4番手のチーム。ダウンフォースの面で遅れているので、ギャップを埋めるために努力が必要だ。」
ライバルとの差は
ハミルトン:「ゆっくりとだがクルマは進化している。どのチームがいつアップグレードを投入するかも興味深い。トップ勢とのギャップは0.3〜0.4秒あると思う。それを埋めるには多くのアップデートが必要だ。バーレーンでアップデートがあるかどうかは分からない。」
ルクレール:「全体的に見て遅れているけど、特に第1セクターが弱かったかもしれない。ただし、これはあくまで感覚の話で、実際には2秒ほど前を走っていたので正確には分からない。今回のレースで見せたパフォーマンスが現時点でのマシンの実力だと思う。
この週末はクルマについて多くのことを学べた。それがポジティブな点だ。4位という結果には満足していないが、最大限の結果を出せたし、多くの教訓を得た。特に金曜日は重要だった。以前から試したかったアイデアを極端に試すことができて、うまくいったのが嬉しかった。」
バスール:「全体として最大限は引き出せていなかったと思うが、それは他のチームも同じ。例えばマックスの予選ラップもそうだった。平均的に見て、我々はポールポジションより0.2〜0.3秒遅れており、レースでもそのくらいだった。これは現実だ。そこから改善していかなくてはならない。」
現状は理想的ではないが、昨年と同じことをやる
バスール:「昨年、シーズン序盤から中盤にかけて大きく改善できたのは、魔法のような解決策があったわけではなく、小さなエリアを一つずつ磨き、バランスを整え、ドライバーがマシンのポテンシャルを引き出せるようにしたからだ。」
「予選ではそこまで離されていなかったが、我々やマクラーレンにとっては1周をまとめるのが難しかった。例えばチャールズのラップでは、シケインと第1コーナーで大きく失っていた。これは言い訳ではなく、他のドライバーも同じ状況だ。」
「ある地点に来ると、マシンの潜在力を最大限に引き出すのが難しくなる。これが『ドライバビリティ』の課題だ。私はこの状況に慣れている。ここ2年、開幕はいつもこうだった。もちろん理想的ではない。初戦で勝ちたかった。しかし、昨年と同じように対応していけば良い。小さなステップを積み重ねていくしかない。」