
タイトル争いがノリスとピアストリというマクラーレンのチームメイト2人による一騎打ちの様相を呈し始めている中で、チームは両者の間に軋轢が生じないよう、慎重な対応が求められている。現時点では、昨年から大きく進化を遂げたピアストリがやや優勢であり、ノリスは特に予選で苦戦している部分がある。
マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは今のところ深刻には捉えておらず、ドライバーブリーフィングの雰囲気も昨年と変わらないと語っている。2024年にノリスをエースとしてフェルスタッペンに挑ませたときのように、明確なエースが定まるまでは「パパイヤ・ルール(マクラーレン内の平等原則)」を維持する構えだ。
「ブリーフィングがより厳しくなっているということはない。会話の内容も、いつも通りだよ。もちろん、2人のドライバーがグリッドで隣り合っていて、第1コーナーまで800メートルもあるような状況では、僕たちがどうレースを進めるかという細かい部分まで改めて確認する必要があるかもしれない」
とステラはメディアに語った。
「でも今のところ、僕はランドとオスカーの両方にとても感謝している。2人はこの内部の競争に対して非常に責任ある態度で臨んでいて、僕たちのレース原則とアプローチを忠実に守ってくれているんだ」
スペイン・バルセロナでの予選では、Q3でノリスがピアストリからスリップストリーム(トウ)を受けてタイムを出した場面があり、わずかな緊張が見え隠れした。ステラはこれについて深刻に受け止めてはいないものの、「事前に話し合っていなかったこと」として、チームにとっての「宿題」が残ったと認めている。
「あれは小さな出来事だよ。僕たちは常にドライバーに“何か気になることがあれば、頭の中に留めずに、すぐに口に出してくれ”と言っている。今回、オスカーの発言は、あの場面について事前に話し合っていなかったという状況を指摘しただけで、特に物議を醸すようなものではなかったと思っている」
「ただ、事前に取り決めていなかったのは事実で、ドライバーにとって“寝耳に水”な状況にしたくない。だからこれは、ドライバーではなくチームとしての課題だ。もっと準備をして、次のレースに備えなければいけない。これからの戦いは間違いなく面白くなる」