マクラーレンのランド・ノリスが、メキシコシティGPをポール・トゥ・ウィンで制し、ドライバーズ選手権の首位を奪回した。2位はフェラーリのシャルル・ルクレール、3位はレッドブルのマックス・フェルスタッペンだった。これでノリスはオスカー・ピアストリに1点差でリードし、残り4戦のタイトル争いを主導権を握って進める構図となった。

レース後、スタジアムに響いたブーイングに対し、ノリスは表彰式とメディア対応で平静を崩さなかった。

「人々が何をしようと構わないし、スポーツとはそういう時もある。正直、ブーイングを受けると笑ってしまうんだ。続けたければ続ければいい」

と語り、挑発的な空気を笑いに変えてみせた。その上でノリスは、自らの自信の源泉として“チーム力”と“ドライバーの二枚看板”を挙げた。今季序盤から繰り返している持論は明確だ。

「僕らは今、ほぼ全サーキットで強いと自信を持っている。何より大きいのは、僕らが“2人の強いドライバー”を同時に走らせている唯一のチームだという点だ」
この発言は春先からの一貫した見解であり、当時もノリスは“レッドブルは実質フェルスタッペンのワンマンで、2台目が結果で支え切れていない”と指摘していた。

メキシコの週末は、この構図を裏づけるかのように進んだ。フェルスタッペンはアップグレード投入後も表彰台を確保したが、首位ノリスを捉えるまでには至らず、マクラーレンの一体感と安定度が際立った。

一方で、ブーイングの的になった理由を問われたノリスは、マクラーレン内の“ひいき”観測についても苦笑いで受け流した。

「そう思いたい人がいるなら、そう思えばいい。僕らは公平にやっているだけだ」

ノリスの挑発的とも取れる“2人目不在”論は、レッドブルの反発を招く可能性がある。しかし、タイトルレースが最終盤に差し掛かる今、メキシコでの独走と首位奪回という“結果”が、彼の自信をさらに強固にしたのは間違いない。次戦サンパウロでは、レッドブルの追撃とピアストリの巻き返し、そしてノリスが強調する“二枚看板”の総合力が、再び勝負の分水嶺となる。