
マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットは、2025年のMotoGPに向けた準備の中で、同サーキットCEOアズハン・シャフリマン・ハニフ氏の発言が誤って伝えられ、二輪MotoGPの開催とF1復帰を望む姿勢が混同されて報じられた。
ハニフは、MotoGPがマレーシアに大きな経済的価値をもたらしていると述べる一方で、F1を再び開催することにも触れた。ただし、その費用は莫大であり、採算性を確保するのは容易ではないと認めた。
マレーシアがF1を最後に開催したのは2017年。以来MotoGPは開催を継続している。
「我々は過去の過ちを繰り返したくない。F1を手放してしまい、今では取り戻すのが非常に難しくなっている。MotoGPで同じ過ちを犯したくない。F1に戻るには待機リストがあり、しかも費用は非常に高額だ」
「リバティ・メディアから提示された開催料は1戦あたり7000万ドル(約103億円)だ。これにサーキット側の準備費用が加わる。年間総額で3億リンギット(約105億円)を超える負担になる。
多くの国々が開催を希望しているので簡単ではない。しかし本当に復帰を目指すのであれば、会話を始めることはできる。F1を望んでいるのはSIC(セパン・インターナショナル・サーキット)だけではなく、政府や企業など多くの関係者も同じ思いを持っている。
シンガポールGPのように、政府、企業、ホテルなどすべての関係者が一体となって支えてこそ成功する。もし復帰を目指すなら、同じような形が必要だ。時間もかかるだろう。MotoGPも投資回収まで時間が必要だった。
大切なのは関係者全員が一つになることだ。MotoGPやF1はSICのイベントと見られがちだが、実際には国家的なイベントだ。僕たちは運営やブランディングの先頭に立つが、本質的にはマレーシアのイベントなんだ」
この発言が「セパンがF1をMotoGPより優先したがっている」と解釈されて報じられた。しかし、プロモーターは声明を発表し、現時点での最優先はMotoGPであると強調した。現時点での狙いは、2026年以降もマレーシアGPをMotoGPカレンダーに残す契約延長だ。SICは声明でこう述べている。
「PETRONASセパン・インターナショナル・サーキットは、最近の報道について明確にしたい。我々のCEOの発言は、2026年以降のMotoGPマレーシア契約更新に関するものであり、F1復帰を意図したものではない。F1は我々の歴史にとって重要な存在だが、開催権を取り戻すのは複雑かつ高額な挑戦だ。我々の最優先事項はMotoGPを守ることであり、これはマレーシアのファンに強く支持され、観戦や運営の面でもF1よりはるかに手が届きやすい。
現行のMotoGP開催契約は2026年までとなっている。我々はスポーツ省(KBS)、ドナルナ・スポーツ社、その他関係者と緊密に連携し、この世界的イベントをマレーシアに継続することを目指している。
SICは、経済、観光、発展への影響について包括的なデータと分析を提供し、今後の判断を支援していく。我々はファンや関係者の情熱に感謝し、MotoGPの未来を守るため尽力することを改めて約束する」
セパンの最優先はMotoGP継続。その先にF1復帰の可能性はあるが、現実的には長い道のりとなりそうだ。