
シンガポールGP決勝後、マクラーレンのコンストラクターズ選手権連覇達成を受け、表彰台で即席のチームセレモニーが行われた。しかし、4位でフィニッシュしたオスカー・ピアストリの姿はそこにはなかった。放送に映らなかったことで「祝賀を拒んだのでは」という臆測が拡散したが、実際にはメディア対応(ミックスゾーン等)の規定業務に就いており、単にタイミングと導線の問題で合流できなかった、というのが公式に近い説明だ。これは事前にチームに連絡されていた正式セレモニーではなく、ピアストリを待つ猶予はなかったというのが実情だ。
さらに、レース後に流れたザック・ブラウンからピアストリへの無線が途中で途切れた件についても、「ピアストリが意図的に切った」という誤解が広がった。しかし、当人はそのメッセージ自体を受信しておらず、車両シャットダウンやFOM側の放送スイッチのタイミングが重なった不運な偶然だったと説明されている。
ネット上では「チームがノリスを優遇している」との批判も噴出したが、これも見え方の連鎖が引き起こした炎上だ。映像と断片的な事実は、ときに強力な物語を作る。物語は魅力的だが、事実はしばしば地味である。それでも、マクラーレンに改善の余地がないわけではない。セレモニーの即興性そのものは否定できないにせよ、ドライバー動線とチームの合流計画は、タイトルコンテンダーを二人抱える現在の構図ではより一層シビアに設計すべきだろう。