
キャデラックのF1初参戦に向けたドライバー選定が注目を集める中、ミック・シューマッハが「確実に候補のひとり」であるとチーム代表のグレアム・ロウドンが明言した。ただし、同時に「候補者リストはかなり長い」とも認めており、最終決定はまだ先になる見通しだ。
F1の2026年シーズンは1月下旬、バルセロナ‐カタルーニャ・サーキットで非公開のプライベートセッションから幕を開ける予定だ。各チームが新レギュレーションに基づくマシンの初走行を行う中、最大の関心は「誰がフェラーリ製パワーユニットを搭載したキャデラックF1マシンをドライブするのか」に集まっている。
現時点ではセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスが有力候補とされており、角田裕毅や周冠宇、アストンマーティンのリザーブ、フェリペ・ドルゴヴィッチの名前も挙がっている。そして、ミック・シューマッハもまた、その候補のひとりに数えられている。
キャデラックのチーム代表ロウドンは、ドイツのSkyに対して次のように語った。
「ミックは素晴らしい。とてもいいヤツだし、僕は彼のことがすごく好きだ。最近もっとよく知るようになったよ。彼はまだ若いけれど、すでにF1での経験がある。それは少し前の話にはなるけど、彼は常に自身を最新の状態に保っている。このプロジェクトに対して強い関心を示してくれている。それが僕たちは本当に気に入っている。こういう姿勢はとても大事だ」
「彼はチームにとって全くの他人ではない。僕たちの立ち位置を理解しているし、彼についてはポジティブな評価ができる点がいくつもある。彼は“確実に”候補リストに入っているよ」
「ただし…」とロウドンは続けた。
「そのリストはかなり長いんだ」
シューマッハは2022年にハースを離れて以来F1から離れており、2年間にわたりメルセデスのリザーブドライバーを務めたあと、現在はアルピーヌのWEC(世界耐久選手権)プログラムに専念している。
ファンがキャデラックのドライバー発表を耳にするにはもう少し時間がかかりそうだ。ロウドンは、現時点での最優先事項は「最高のマシンを2人のドライバーに提供すること」だと強調している。
「ファンには申し訳ないけれど、まずはマシンの開発に集中させてもらうよ」とロウドンは述べた。
「クルマがなければ、ドライバーもいないからね」
「でも今の僕たちにとってはありがたいことに、本当に優れたドライバーたちが多く市場に出ている。経験豊富なベテランからF2の有望株まで、幅広い層がいるんだ」
キャデラックにはアメリカ人ドライバーを起用する可能性も残されている。これはチーム創設に尽力したマリオ・アンドレッティの夢でもある。
インディカーのコルトン・ハータの名前も挙がっているが、アメリカ人ドライバーの登用は先送りになる可能性が高い。アンドレッティは、今年初めにFOXのインタビューで次のように語っている。
「最近、アメリカ人ドライバーがF1にあまり関わってこなかったこともあって、“本当にアメリカ的なチーム”を持てるというのは大きな意味があると思う。だからこそ、国内の才能をF1に導くという考え方は本気なんだ」
「今のF1人気はアメリカで前例のないレベルに達しているけど、それを持続させる努力は必要だ」
「ナショナルプライド(国家的誇り)というのは強い。アメリカ国内でF1レースが3戦ある今、アメリカ人ドライバーを応援する機会を作るべきだと思う」
「これは将来を見据えた話だ。ポジティブな方向に進んでいるからこそ、僕たちはこの“バブル”を育てていかなければならない。破裂させてはいけないんだ」

