角田裕毅とピエール・ガスリーにとっての、サウジアラビアGPは1ラップ目で終わりを迎えることとなった。両ドライバーは、このクラッシュをレーシングインシデントだと判断したものの、トップ10からスタートした有望なレースが一瞬にして潰えたことに、深い失望を隠せなかった。

「ターン4ではいい走りができて、ブレーキングもかなり良かった。というのも、角田はカルロスの後ろでちょっと詰まっていたから、そのブレーキングゾーンで前に出られたんだ。」

ガスリーはメディアに語った。

「自分たちが両方ともコーナーを抜けられるように、できる限りのスペースを残した。でも、彼がアンダーステアになって接触したように見えた。」

その接触自体は「かなり小さなもの」ではあったが、「車をそのまま壁に向かわせるには十分だった」。

「インシデントを含めて、これがレーシングだよ。」

角田裕毅も同様の見解を持っていた。メディアに対して、ガスリーを責めるつもりはないと話している。

「彼が僕に突っ込んできたってわけじゃない。あのコーナーがこのサーキットで最も狭いことは分かっていたし、サイド・バイ・サイドで行くのは、経験上、1周目に何が起こるか分かっているつもりだった。僕自身としては、コントロールできている感覚だった。かなりのスピードを持っていて、カルロスのすぐ後ろだった。ただ、突っ込もうとしてたわけじゃない。」

「彼を避けるためにできる限りのことはやったけど、あのコーナーはこのサーキットで最も狭いし、1周目はグリップも少ない。もう少し慎重にいくべきだったかもしれないね。」

かつてチームメイトだった二人にとって、接触の相手が友人であったことは、より一層のフラストレーションを呼んだ。しかし、角田はもしリスタートのチャンスがあったとしても「同じことをしただろう」と語りつつ、それがガスリーでなければよかったと悔やんでいる。ガスリーもまた、角田の意図については理解していると語った。

「彼の意図は分かっている。僕たちの間には大きなリスペクトがある。だから、悪意があったわけじゃないことは分かっている。ただ、判断の問題だった。1周目、タイヤが冷えている状態……結局、僕たちはみんな、自分のレースのために戦っているんだ。」

「もう少し余裕を持っていけたかもしれないという気持ちはあるけど、それでも、これはモータースポーツ。こういうサーキットでは、こういうことが起きてしまうものなんだ。」

この接触、リタイヤが二人の関係を悪化させるような事にはならなかったようだが、今二人は非常にタイトなチャンピオンシップ争いの渦中にいる。チャンピオンシップでガスリーは6ポイント、角田裕毅は5ポイント、それぞれ同ポイントのドライバーは3名ずついる。

ガスリーは好調の兆しをみせるアルピーヌでミッドフィールド上位を狙い、角田裕毅は自身がレッドブルのシートに相応しいことを証明するチャンスを渇望している。二人がポイントでサウジアラビアGPを終えたのは、後々痛手になるかもしれない。