カルロス・サインツ・シニアが2026年からのFIA会長選挙への出馬を検討しているとの報道が流れている。サインツSrはまだ立候補の正式な手続きには至っていないが、出馬の可能性が高まっているとみられる。

※カルロス・サインツSr:スペイン・マドリード出身のラリードライバー。世界ラリー選手権 (WRC) で1990年と1992年に2度のドライバーズタイトルを獲得。同通算26勝は歴代4位。ダカール・ラリー総合優勝4回。カルロス・サインツJr.の父。

現職のモハメド・ベン・スレイエム会長は、2021年の就任から今期末で任期を終え、再選を目指している。在任中にはモータースポーツUK(英モータースポーツ統括団体)の反発、副会長の辞任などFIA内部の安定性が問われている。それでも彼にはいくつかのASN(各国自動車連盟)からの支持が残っており、サインツSrが良い選挙対策チームを編成しなければ、選挙は厳しい戦いになるといわれる。

サインツJrのコメント:

「この話は、実は少し前から出ていたんだ。でも面白いことに、そもそも父から出た話じゃない。パドックの人たちが父に言い出したことで、だんだん本人も真剣に考えるようになった。今は検討している段階で、まだチームを組んでいないけれど、どうするかを考えている。本人も言っているけれど、どんな人をチームに入れるかとか、選挙に必要な動き、誰に話をすればいいかを調べている。全体的な仕組みを理解しようとしているところだ。」

「僕は今ウィリアムズの仕事で忙しいから、基本的には彼に任せている。ただ、1〜2週間に一度くらい進捗を教えてくれて、“今こうなっているよ”とか“この人に会ったよ”とか話してくれる。僕の意見を求めてくれるけど、それ以上ではない。」

「僕は息子だからバイアスはあると思うけれど、できるだけ客観的に見ても、父よりふさわしい人は思い浮かばない。僕のカート時代からずっと一緒にやってきたし、その後もフォーミュラの階段を一緒に上がってきた。F1も10年、ラリーも40年経験している。スペインでのモビリティ活動にも関わっていて、あらゆる面でモータースポーツに精通しているんだ。」

「政治的な部分は確かにネガティブな側面だ。でも、もし誰かがそういう政治的な部分を取り除けるとしたら、それは父じゃないかな。常識を大事にして、人生の基本的なルールに従って行動する人だからね。だからこそ、いろんな人が彼に声をかけたんだと思う。」

「政治は彼があまり好きじゃない部分かもしれないけど、それも仕事の一部だと理解しているし、やるしかないこともわかっている。利害関係の衝突についても、僕は具体的な問題を思いつかない。もし何かあるとしても、僕も父もすごく注意するはずだよ。自分たちのイメージやキャリアを台無しにするようなことは絶対にしたくないから、逆に何も問題が起きないよう最大限に配慮するだろう。」

「父はそういったネガティブな声にも耐えられる強さがある人だと思う。母は“もう引退なんだからゆっくりしたら”って言ってるけど、父は止まらないタイプだ。モータースポーツが大好きで、現役を退いた後も何かしら関わっていたいと思っている。FIAにも長年敬意を払ってきたし、安全性や環境面でFIAがやってきたことを理解しているから、自分も貢献したいと考えている。」

「僕たちは似た性格かもしれない。彼は僕の人生のメンターで、毎日電話もしているし、自然と似てくるところもあると思う。GPDAの視点からも、FIAやF1、ラリーに関して改善できることの意見を僕が彼に伝えている。それも含めて、彼はどう改善できるか考えてくれている。最終的な目的は、FIAとモータースポーツの環境全体をより良くすることだ。」

サインツJr以外のドライバーも、父カルロス・サインツの出馬について次のように語っている。

ジョージ・ラッセル:

「カルロスSrは、F1だけじゃなくてモータースポーツ全体で非常に尊敬されている人物だ。彼が出馬するなら素晴らしい候補になると思う。最初は驚いたけど、よく考えるとすごく理にかなっている。

利害の衝突なんてないよ。FIAの技術的な部分は技術スタッフが担当するし、会長は基本的に表に出ず裏方として動く役割だ。ジャン・トッドのときもそうだった。

父と息子の両方がこのスポーツを理解しているという意味で、むしろいい影響を与えると思う。すごくいい組み合わせになるかもしれない。」

フェルナンド・アロンソ:

「この件については日曜にカルロスと話したよ。彼は多くの経験があって、モータースポーツの何が必要かを知っている。新しい視点をもたらす可能性もある。もちろんこれはFIA全体の話だから、どうなるか見ていく必要があるけど、カルロスなら良い候補になるのは間違いない。」

ルイス・ハミルトン:

「彼のことは何度かしか会ったことがないから、詳しくは知らない。でもキャリアは素晴らしいし、今でもすごいことをしている。それは間違いない。」

マックス・フェルスタッペン:

「少し記事を読んだよ。彼はこの世界でも、ラリー界でも非常に尊敬されている存在だ。息子との関係について利害の話をする人もいるけど、彼ならちゃんと分けて考えられると思う。

彼が会長に立候補するなら素晴らしいことだと思うよ。現職(モハメド・ベン・スレイエム)より良いかって?それは僕の口から言うことじゃない。君たちで判断してくれ。」