
カナダGPで2位に終わったレッドブルが、優勝したジョージ・ラッセルに対し、FIAスチュワードへ正式な抗議を提出したことが明らかになった。抗議の詳細は現時点では明らかにされていないが、「スポーツマンシップに反する行為」だという。
問題となっているのは、レース終盤のセーフティカー導入時のラッセルの行動とみられる。セーフティカー先導中、ラッセルはシケイン手前のバックストレートで急ブレーキをかけ、これに不意を突かれたマックス・フェルスタッペンが右側から追い越してしまった。これはルール上許可されていない。
スポーティング・レギュレーション第55.10条では、セーフティカー先導時、先頭のドライバーはセーフティカーとの距離を10台分以内に保たなければならないと規定されている。ラッセルのブレーキによってこの距離が広がった可能性がある。
なお、2022年にはピエール・ガスリーとセルジオ・ペレスがこの違反により5秒ペナルティを受けており、ラッセル自身も昨年のカタールGPで同様の違反によりペナルティポイントを課されている。
さらに、同じ規則の第55.5条では「セーフティカー導入中、必要以上に遅く走行したり、不規則な運転、他車や他人に対して危険と見なされる行為を行ってはならない」と定められている。これはピットレーンやピットロード上でも適用される。
ラッセルが具体的にどの行為で抗議を受けたかはまだ定かではないが、両チームの代表は現地時間17時50分にモントリオールのスチュワードの元を訪れる予定となっている。
セーフティカー中の混乱についてフェルスタッペンは次のように語った。
「僕らは二人ともセーフティカーに『もっとスピードを上げてくれ』とアピールしていたんだ。セーフティカーが時速120キロしか出していなかったからね。再スタートの準備に少し時間を与えるためだったのかもしれないけど。それでジョージがセーフティカーに追いつこうと加速して、僕も同じことをしていた。だけど彼はその後すぐに減速して、ちょっとした混乱を招いたんだ」
オンボード映像では、ラッセルが急ブレーキをかける直前に右のサイドミラーを確認していた様子も映っていた。
スポーツマンシップ違反は、国際スポーティングコード第12.2.1.mにおいて、「競技の公平性に反する行為、非紳士的な振る舞い、あるいはスポーツ倫理に反して競技結果に影響を与えようとする試み」として定義されている。
なお、フェルスタッペンは今大会前の時点でスーパーライセンスに11ポイントのペナルティを抱えており、今後オーストリアGPまでの間に新たなペナルティポイントを受けると、自動的に1レース出場停止処分が下される状況だ。
一方で、今回優勝したラッセルはフェルスタッペンに1秒以内の僅差で勝利しており、もしスチュワードが彼の行為に対してタイムペナルティを科した場合、勝利を失う可能性がある。
また、レース終盤に起きたマクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリスの接触についても、両ドライバーがスチュワードに召喚されている。