レースウィークを前に、勢力図をめぐる視線は再びフェルスタッペンに集まっている。メルセデスのトト・ウォルフは「心理的優位は今やフェルスタッペンにある」と語り、タイトル争いの主導権を握るのはオランダ人だとの見立てを示した。リスク許容度、決勝での意思決定、そして接戦での強さが、他陣営に見えない圧を与えているという評価だ。

この評価に呼応するように、アロンソもフェルスタッペンを「史上最高の一人」と称えた。単なるマシン優位では説明できない予選一発とレースマネジメントの両立、路面コンディションの変化に対する適応力、そして戦略を自ら引き寄せる判断の速さが突出しているという見方だ。熟練のライバルから見ても、フェルスタッペンは完成度は高い。

一方で、対抗軸のマクラーレンは退かない。ステラ代表は「我々はまだ主導権を握っている」と強気の姿勢を崩さず、開発計画の遂行度とサーキット特性の適合を根拠に掲げる。空力効率とメカニカルグリップのバランス改善で、タイヤのワーキングレンジを広く保てることが強みだと強調した。高速・中高速のコーナーが連続するコースでは、依然としてオレンジのマシンが基準線だという自負が透けて見える。