
ウィリアムズのジェームズ・ヴォールズ代表が、F1週末の抜本的な再編案を打ち出した。提案の柱は「金曜の全活動を廃止し、2日開催へ移行する」ことだ。具体的には、土曜にフリー走行を1時間のみ設定し、直後に予選を実施。日曜は従来通り決勝を行うというシンプルな構成で、24戦体制下で膨張する現場負担を抑えつつ、競技の予測不能性を高められると主張する。ヴォウルズは「練習時間を絞れば番狂わせが増える。より“人工的でない”形でショーを良くできる」と語った。
背景には、今季24戦・スプリント6回という過密日程がある。ヴォウルズは「レース数が多すぎるのではなく、週末の設計が問題だ」と指摘し、金曜を畳むことで年間の拘束日数を減らし、場合によってはレース数を“わずかに”拡張しても総負荷は増やさずに済むとの見立てを示した。実際、彼は2日制が定着すれば、スタッフの燃え尽き防止とショーアップの両立が可能だと強調する。
この案は、リバティ・メディア側で取り沙汰されるフォーマット再考—たとえばスプリント拡大や予選方式の試行—とも接点を持つ。2日制は移動・設営のサイクルを短縮し、コストや人員のやり繰りに悩む中団以下のチームにも恩恵がある一方、サーキット主催者や放送局が重視する「3日間の来場・視聴接点」をどう補うかというビジネス上の調整課題も残る。過去にイモラ2020で短縮週末が成功例として挙げられるなか、ヴォウルズの提案は実務と興行の綱引きの中心に浮上しつつある。議論はすでに欧州メディアを中心に広がっており、今後の公式協議の俎上に載る可能性も高い。