フェルナンド・アロンソが、F1公式中継の見せ方に苦言を呈した。シンガポールGPの放送で、ルイス・ハミルトンとの最終盤の攻防やオーバーテイクが十分に映されなかったとして、「コース上の興奮をもっとファンに届けるべきだ」とFOMに改善を促したのだ。発言はレース翌日の投稿と海外メディアの取材に基づくもので、現地で起きていた緊迫のシーンが放送では抜け落ちたという主張である。

シンガポールGPでの終盤、ハミルトンはブレーキ不調を抱えながら走行を続け、アロンソは40秒以上あった差を一気に詰めてチェッカー目前で背後に迫った。だが、TVディレクションはガレージの反応カットや別のバトルを中継し、肝心の攻防が十分に映らなかったと受け止められた。

これに関してはカルロス・サインツも、レース中継がチームに招かれた著名人やドライバーのパートナー、家族の反応に偏り、肝心のコース上の出来事を逃したと指摘している。ファン層拡大に資する演出を否定しない一方で、レースそのものを軸に据えるべきだという声がドライバーから上がっている格好だ。今回の議論は、数億人が視聴するF1中継において、何を主役に据えるべきかというテーマを突きつけた。