
アストンマーティンのフェルナンド・アロンソは、F1での20年間を振り返りながら、自身のキャリアにおける「運」の存在について語った。2度のワールドチャンピオン、32勝を挙げながらも、その実績は才能に比べれば少ないと見られることも多い。彼のキャリアには数多くの不運が影を落としてきたからだ。
F1のほか、WECでは成功を収めたが、ダカールやインディ500では満足な結果を得られなかった。それでも挑戦を続けてきた姿勢は高く評価されている。F1に復帰してからも、アロンソは度々「運」に翻弄されてきた。2026年シーズンはアストンマーティン、そしてエイドリアン・ニューウェイとともに挑む最後のチャンスと位置づけている。
近年、アロンソは「運」について語る機会が増えている。ポイントを稼げる場面でトラブルに見舞われ、何度も結果を失ってきた一方で、時に幸運が転がり込むこともあったという。
「こういうことは起きるものだ。でも2022年を振り返ると、アルピーヌのマシンは悪くなかったし競争力もあったのに、僕は12回もリタイアしたんだ。しかもいつも5位や6位を走っている時にね。あの年はチームが55~60ポイントを失ったと数えていたし、今年もすでに22ポイントを失っていると思う」
「ポイント圏内で走っている時に限って完走できないのは残念だよ。でも不思議なことに、競争力がなくて遅い時はいつもスムーズにゴールできて、その結果はノーポイントなんだ。これがスポーツの本質だと思う。もし来年いいマシンを持てれば、必要なのは特別な幸運じゃなく普通の運でいい。正直、良い運と悪い運は50対50だと思う。400戦以上走っていれば、幸運なレースも不運なレースもたくさんあって、結局はバランスが取れているんだ」
「ル・マンでもそうだった。2度目の参戦の時、残り1時間でトップから2分遅れていたのに、相手がパンクして、さらにホイールの装着不良でダブルピットストップを強いられて、僕が優勝した。あれは完全に運のおかげだった。だから結局は帳尻が合っているんだ。でも、最後にF1で勝ってから10年以上経っているというのは、自分でも信じられないよ」
アロンソはまた、自身の20年に及ぶキャリアについても語った。デビュー当時、これほど長く走り続けられるとは想像もしていなかったという。
「正直、タイトルを取った20年後にまだここにいるなんて思ってもいなかった。F1は多くの変化を経験してきた。テクノロジーの進化、パワーユニット、レース準備の方法、そしてライバル分析の仕方まで。結局はいつの時代もマシンの性能とレギュレーション次第で、あるチームに有利になったり不利になったりする。でも今はそれがさらに極端になっている」
「今年22ポイントを失ったといっても、僕たちはチャンピオン争いをしているわけじゃない。だから大したことないように聞こえるかもしれない。でも今は20ポイントを稼ぐのにものすごく努力と集中力が必要なんだ。マシンが週末に1~2ポイントしか取れない状況で22ポイントを失うというのは、実際には膨大な損失なんだよ。今のF1はテクノロジーの進化とチームの準備の徹底によって、ますますマシン性能に左右されるスポーツになっているんだ」
アロンソは、自身のキャリアを「幸運と不運が半々」と振り返りつつも、なおも勝利を渇望している。2026年、彼にとって最後の大勝負が待っている。