アルピーヌは、2025年F1シーズンにおいてリザーブドライバーであるフランコ・コラピントを、ジャック・ドゥーハンに代えて数戦起用すると正式に発表した。コラピントは、エミリア・ロマーニャGP以降の数戦でステアリングを握ることになる。

すでに冬の段階で、ドゥーハンがF1で自らの実力を示す機会として6戦を与えられるとの噂が流れていた。そして、その結果次第では2025年シーズン全体のシートを確保できる可能性があるとされていた。アルピーヌの首脳陣はオーストラリア人ドライバーを支持しつつも、状況によってはコラピントの起用も視野に入れていた。

マイアミGPを前に、コラピントのスポンサーのひとりがイモラでの出走を示唆したことがあったが、オリバー・オークスはこれを否定していた。しかし、ドゥーハンにアクシデントがあったことをきっかけに、彼の交代に関する情報が一気に現実味を帯びて広まり始めた。そしてついに、アルピーヌが公式にその事実を認めるに至った。

コラピントはエミリア・ロマーニャGPからアルピーヌのマシンをドライブすることになるが、そこには一つの条件がある。彼もまた、ドゥーハンと同様に、シーズン後半までのシートを確保するためには5戦で自らの実力を証明しなければならない。英国GPまでに評価が下され、その先の去就が決まる見込みである。

このドライバー交代の発表に加え、アルピーヌはチーム代表オリバー・オークスの退任も同時に発表した。チームの説明によれば、オークスは自らの意思で職を辞したとのことであり、その業務は暫定的にフラビオ・ブリアトーレが引き継ぐことになった。なお、この人事がドゥーハンとコラピントの交代に関係しているかどうかは明言されていない。

「開幕戦から数戦を振り返ったうえで、次の5戦はピエールとともにフランコを起用する決断を下した。今季はグリッド全体の差が非常に僅差であり、かつチームのマシンは過去12ヶ月で大きく進化している。こうした状況において、我々はラインアップを入れ替える必要があると判断した」

「2026年シーズンはチームにとって非常に重要なものとなる。その準備の一環として、今季中にドライバー陣の公平かつ徹底的な評価を行うことが最善の策である。ジャックのこれまでの姿勢は非常にプロフェッショナルであり、引き続きチームとして彼をサポートしていく。次の5戦は新たな試みに挑む機会となり、その期間を経た後に今後の方向性を判断していくつもりだ」
――フラビオ・ブリアトーレ

「まずは、次の5戦でF1マシンをドライブする機会を与えてくれたチームに感謝したい。イモラ、そしてその後に控える3連戦に向けて、チームとともにしっかりと準備を進めるつもりだ。これらは間違いなく激しい戦いになるだろうし、すべての関係者にとって大きなチャレンジになる」

「僕は常に集中力を切らさず、チームのレースサポートプログラムやエンストンでのシミュレータを通じて準備を続けてきた。すぐにリズムを掴めるように努め、ピエールとともにできる限り良い結果を残すために全力を尽くすつもりだ」
――フランコ・コラピント

「F1ドライバーになるという生涯の夢を叶えることができたことを、僕は心から誇りに思っている。そして、その夢の実現を助けてくれたチームには永遠に感謝している。もちろん、今回の決定はプロドライバーとして受け入れがたいものであり、僕としては当然ながらレースに出場し続けたいと願っていた」

「とはいえ、チームが僕を信頼してくれていること、そして今後を見据えていることには感謝している。僕たちは長期的な目標を持っており、その達成に向けて、僕はこれからもチームのために全力を尽くしていく。今は静かに、次の5戦を注視しながら、自分の目標に向かって努力を重ねていくつもりだ」
――ジャック・ドゥーハン