
F1界のレジェンド、アラン・プロストは、自身が持つ「4度のF1ワールドチャンピオン」という称号が、まもなく歴史の一部に埋もれることを確信している。
現在、F1の最多タイトル保持者は ミハエル・シューマッハ(7回) と ルイス・ハミルトン(7回)、そして ファン・マヌエル・ファンジオ(5回) である。一方、プロスト、セバスチャン・ベッテル、そしてマックス・フェルスタッペンは 4度の王者 に輝いたドライバーたちだ。しかし、69歳のプロストは、自分とベッテルがこのグループから離脱する日が近いと考えている。
プロストは、メディアRMC Motoriから「フェルスタッペンが5度目のタイトルを獲得し、ファンジオに並んだときの気持ち」について問われると、こう答えた。
「彼のようなドライバー、つまり最初のラップから並外れた才能を持つ非常に速いドライバーであれば、それは当然のことだ。彼は偉大なチャンピオンだ。彼が最も優れたドライバーであることはすでに証明されている。だから、彼と4つのタイトルを共有することに何の問題も感じない。むしろ、彼が私を超えることは確実であり、数年以内に間違いなくそうなるだろう。」
フェルスタッペンとニキ・ラウダの共通点
F1のもう一人のレジェンドである ゲルハルト・ベルガー は、フェルスタッペンのレーススタイルや仕事へのアプローチが、 偉大なニキ・ラウダ に似ていると語った。彼の分析によれば、フェルスタッペンは余計なものを排除し、成功への道を明確に見据えているという。
「私は、昔のドライバーと今のドライバーを比較するのは好きではない。だが、それはさておき、マックスがニキのように率直であることは確かだ。ニキに何かを尋ねれば、彼はいつも正直に答えてくれた。それはマックスにも通じる部分だ。」
また、ベルガーはNetflixで放送された 「アイルトン・セナ」を題材にした新シリーズ に対し、作中で 彼がプロストを公然と侮辱するシーン に不満を抱いていることを明かした。この件についてもプロストは強く反応し、こう語った。
「アイルトン(セナ)はこのような描かれ方を望まなかったはずだ。たしかに、ドラマとしては良いストーリーなのかもしれない。だが、それでも、事実ではないことを描いたり、根拠のないことを見せたりするべきではない。商業的な作品を作るのは構わないが、それをセナの名のもとに行うのは許されない。それは私の考えと合わないし、私は受け入れられない。」
F1の進化とプロストの嘆き—「レース数が多すぎる」
最後にプロストは、近年のF1の大きな変化のひとつである「年間レース数の増加」に不満を漏らした。2024年のF1カレンダーでは 24戦 が組まれているが、彼の時代と比べると、これは大幅な増加である。
「私にとって、17戦や18戦ですらすでに多すぎると感じていた。もちろん、私たちの時代は何日もテストを行っていた。しかし、私はむしろレースが増えるよりも、テストが多い方が良いと考えている。特に、若手ドライバーにとっては、シミュレーターではなく実際の走行で学ぶ機会が増えるし、スポンサーにとってもドライバーと接する時間を増やせるはずだ。それならば、レースを増やすよりも、テスト日を増やす方がずっと良い。」