フェラーリ会長ジョン・エルカンが今週、F1以外の理由でも大きな注目を集めている。元会長ルカ・ディ・モンテゼモーロが、マラネロの現在の姿に痛烈な批判を投げかけた。

イタリアメディアによれば、フェラーリ会長のエルカンと、兄弟のラポ、ジネヴラは、祖母マレラ・カラッチョーロの遺産を巡る長期的な租税紛争について、イタリア財務当局と1億8300万ユーロの和解金を支払い、さらにそれぞれ1年間の社会奉仕活動に従事することで合意した。

検察側は、2019年に死去したマレラの居住地をスイスと偽装し、イタリアの課税を免れたと主張していた。ステランティスの会長も務めるエルカンは罪を認めていないが、裁判所の承認を条件に司法取引に応じたという。

この騒動は、フェラーリの低調な2025年シーズンにさらなる逆風をもたらしている。ミラノで開かれた映画祭Visioni dal Mondoに登壇したモンテゼモーロは、フェラーリにリーダーシップの不在があると断じた。78歳の元会長は、シューマッハ時代の黄金期を率いた人物だ。

「今日、僕を悲しませるのは、リーダーを欠いたフェラーリを見ることだ。今のフェラーリにはリーダーシップがない。そして何より、強く揺るがぬ魂が欠けている。発表される言葉は往々にして期待を過剰に高める。結果を出してから発表すべきだ」

「フェラーリで私が学び、常に実践してきたことの一つは、勝った時こそさらに努力を重ねることだ。そして勝てない時は、なおさらだ。重要なのは適切な人材を選ぶことだ」

「私の時代には優秀な人材が揃っていた。ナンバー1もナンバー2もね。(解雇された代表であるマッティア)ビノットは続けられていれば良かったはずだ。絶え間ない交代は安定を失うことを意味する。人を入れ替えればまた最初からやり直さなければならない」

モンテゼモーロは、フェラーリが長年にわたりドライバーズタイトル争いを最終戦まで持ち込むことすらできていない現状を嘆いた。

「モンツァで美しいファンの姿を見た。しかしチームは多くの前日談を並べながら、最近は一度も勝利していない。仮に勝っていたとしても、フェラーリは長い歳月の後に世界選手権を獲らなければならないんだ」

「私はかつて最終戦の後半で9回か10回もタイトルを失った苦しい経験をしてきた。だがフェラーリはもう長い間、最終戦までドライバーが勝利を狙える状況にさえ立てていない」

「変化が訪れることを願っている。何よりも、揺るぎない信念を示し続けてくれるファンのために。今のフェラーリは、彼らに対してより大きな責任を負っている」