
マイアミGP決勝、角田裕毅はピットレーン速度違反で5秒加算のペナルティを受け、レース終盤ほぼ5秒差で追いすがるレーシングブルズの元チームメイト、ハジャーと互いにベストタイムを更新し合って競り勝ち、辛うじて10位を守り切った。ドライバーズランキングは16位から11位に上昇し、レッドブル・ドライバーとして”軌道に乗り始めた”といった評価だろうか。
しかしチームメイトの背中はまだ遠い。フェルスタッペンはマイアミで4位となり、このレースを”敗北”と認識している。ホーナーは、おそらく角田裕毅に対するプレッシャーを考慮してポジティブなコメントを残しているが、現時点で角田裕毅の稼いだポイントはフェルスタッペンの1割に満たない。
昨年解雇されたペレス(2024年ランキング8位 152ポイント、表彰台4回)は、フェルスタッペンの 約35% に相当するポイントを稼いだうえで、その貢献が不十分とみなされシートを失った。もちろん、同一マシンでもなく各チーム勢力図も異なる今、ペレスがドライブした年との(ポイント数)単純比較は意味はないが、チームはフェルスタッペンの戦績を基準に比較するだろう。角田裕毅の実力が説得力を持つかたちで認められるには、このペレスの”35%レベル”を超える必要がある。
フェルスタッペンが、現在のペースでポイントを稼ぎ続ければ、今年は(6戦で99ポイント、24戦で)396ポイントとなる。現時点で「フェルスタッペンの35%」の予想は、約139ポイント。角田が残り18戦で130ポイント獲得するには、「1レースあたり7.2ポイント」必要であり(6位で8ポイント、7位で6ポイント)、毎レース6位、7位あたりに位置することで、”解雇された年のペレス並み”の活躍となる。これを上回るためには数回の表彰台は欲しいところだ。
これは今年のレッドブルが不調であっても、後半盛り返しても、チームの勢力図が大きく変わっても、フェルスタッペンがシーズン途中で全くポイントを獲得出来なくなっても、「フェルスタッペンの35%」は自動的に設けられる基準だ。
今年、6位、7位に食い込むには、フェラーリ、メルセデスの争いに割って入る必要がある。ウィリアムズやハースに先行を許してはならない。現時点でこの基準に到達していない懸念はあるものの、角田裕毅にその役割を果たす速さは十分あるだろう。やはり中盤以降のマシン次第だろうか。フレキシブルウィングの是正や、シーズン中のアップデートが角田裕毅の追い風になるか。これからは本当の正念場になる。